第二十九話 ご報告(誤報告?)されました。
「おい! みんな聞け! 今日からライトがクラスの番長だ!」
ジャグナル君が教室に入るなりすぐに叫んだ。
当然、教室内は静まり返る。
そりゃそうだろう。
昨日転校してきた俺がいきなりジャグナル君に代わって番長なんて。
やっぱり丁重にお断りしよう。
「ジャグナル先輩、やっぱーー」
「これは俺だけじゃなくてライアの推薦もある!」
俺が丁重にお断りを入れようとするとジャグナル君が俺の言葉に被せて叫んだ。
いや、最後まで俺の話も聞いてください。
「あの眠れる獅子の!?」
「クラスの二枚看板の推薦か!?」
「確かに気にかけている気はしたけど……」
何やらライア君の推薦があると言った時点でクラスが騒ぎ出した。
眠れる獅子……二枚看板……ライア君はやっぱりただ者じゃなかったって事か。
でも、眠れる獅子とかすごい呼び名だな。
まぁ気功とか言う無詠唱の身体強化使えるんだから一般人と比べて強いもんな。
それならそれで男らしく変な疑惑を生まないような行動をしてほしいものだ。
それにしてもこの異世界でも眠れる獅子とかいう言葉あるのか。
いやいや、いらないところに感心してる場合じゃない。
でも、クラスの二割の方の生徒が無事に学校生活を過ごしているのもライア君がクラスの二割の方を守ってたって事だろうか。
そう言えばライア君は違うクラスや違う学年の大人しい生徒達にも慕われてそうな感じで話かけられていたもんな。
「ジャグナル君、僕の事はーー」
「文句のあるやつはいるか?」
ジャグナル君はライア君がおそらく自分の事は言わないよう抗議しようとしたのを無視して話を進める。
ライア君は諦めて首を左右に振って肩を竦めている。
しかし、
「まぁ、推薦って言われても異論はないけどね」
と呟く。
どっちにしても俺は二人の公認候補らしい。
公認候補ってこんな場面で使うの聞いた事ないけど。
そして、教室内は依然ジャグナル君の声によって沈黙になった状態になっている。
しかし次の瞬間……
「「「うおぉぉぉ!!!」」」
と歓声が上がる。
「まさかAクラスが統一される日が来るとは!」
「それだけじゃねぇ! ライアもって事は学年統一……いや、学校統一もあるか!?」
そして、歓声の次は妄想を口々に話している。
……正直俺今ついていけていません。




