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第十五話 ライア先輩と昼ごはん

 「ライト君、昼ごはん一緒に食べようか」


 午前の授業が終わり今から昼休み。

 算数の次は歴史の時間だったけど、俺の頭にはあまり入っていない。

 何やら賢者が邪神を封印できたのは戦士達が一生懸命盾となり戦ったからであり、決して賢者だけの功績ではないとかなんとか言う話だった気がするけどあまり覚えていない。

 何故かと言うと昼からの着替えをどうやって乗り切ろうか考えていたからだ。

 そして忘れていた、その前に昼ごはんがある事を。


 学校の昼食は学食で全学年が集まる。

 食べる席は特に聞いてないし決まってないのだろう。

 と言う事は『一緒に食べよう』ってフレーズが発生するのである。

 このフレーズは途中で入学した所謂転入生的な俺には特に発生しやすい。

 それをライア君が見逃すはずはない。


 「ライア先輩! 自分たくさんの人と一緒に食べたいっす! 自分たくさんの人と友達になりたいっす!」


 何がなんでも二人だけの空間は避けなければならない。

 例え昼ごはんと言えど、一度そういう二人きりの場面を作ればエスカレートする。

 そうならないようにしなければならない。

 くそ、予想外の試合だ。


 「最初からからそのつもりだけど?」


 ライア君はそう言って後ろを振り向く。

 すると、所謂クラスの二割の方の生徒がいる。

 あぁ……良かった。

 ライア君の疑惑は俺の勘違いだったのだろうか。


 「了解っす! ありがとうございます!」

 「友達作りは大切だからね! まぁ僕は二人っきりでも良かったけど」


 ライア君はニヤリと笑って俺を横目で見る。

 ……ダメだ、騙されてはいけない!

 これは俺を油断させる為の罠だ!

 警戒を怠ってはいけない!


 「と、とりあえずご飯行きましょう!!」


 俺はライア君の視線を避けるように歩き出した。


 「ライト君! そっちじゃないよ、こっちだよ!」


 振り返るとライア君は笑いながら手招きしている。

 しまった! 動揺して間違えてしまった!

 でも、なんだろう……あっちに行かなければならないのにあの手招きを見たら無性に拒絶反応が襲うのは……。


 俺は脳が発する危険信号を抑えながら、空腹を知らせる脳の信号を頼りに意識をそっちに向け強引に歩き出した。

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