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第百四十話 事件の終結

「もうやめろ! レイン!!」

「ベイル先輩!? ジャグナル君!? みんなも!?」


 そこには怪我をして入院しているはずのベイル先輩、そしてジャグナル君、それからライア君やドーラ君、バルテル君もいた。


「なんでここに!?」

「いや、あの後、ドーラ君を抑えるのに苦労してたら、窓に石が当たってね。外を見渡すとジャグナル君がいたんだ。どうやら意識を取り戻したらしく、そしたら隣で一緒だったベイル先輩も一緒を取り戻したんだって。それで二人でこっそり病院を抜け出して来たみたいでね、ベイル先輩は目を覚ますなり、街を抜け出したい、協力してくれって言ったみたいで、ベイル先輩は街を抜け出す準備、ジャグナル君はライト君を呼びに来たって訳。それで、ライト君がいないから僕たちが協力するって言ってここに来たって訳。どうやらベイル先輩の用もそいつにあるみたいだしね。それでみんなで抜け出して僕もお尋ね者って訳」


 そう言ってライア君は肩を竦める。

 お尋ね者って……。


「ベイル兄さん……」

「レイン、おまえの気持ちも分からなくはない。でも、こんな事しても何も変わらない!」

「でも、奴らは……身分がない俺みたいな奴は所詮、日の当たる場所に立てないんだ!!」

「馬鹿野郎!!」


 ベイル先輩は闘気を発動させ、レインという男の頬を殴る。


「ベイル兄さん……」

「立て……レイン……」


 あのレインって男、ベイル兄さんって言ってるけど、どういう関係なんだ?

 レインという男はベイル先輩の言葉にゆっくりと立ち上がりベイル先輩と向き合う。


「レイン……俺はおまえの事を一番分かっているつもりだ。それこそ、小さい時から孤児院で二人、本当の兄弟のように過ごして来たんだからな」


 えっ……? ベイル先輩は孤児院出身だったの? そして、このレインって男はベイル先輩と一緒の孤児院だったの?

 余りの衝撃の展開に、俺を含め、他のみんなも無言のまま二人を見守る。


「ベイル兄さん……でも、この前も言ったけど世の中はそんな甘くないんだよ。所詮この世は弱肉強食。いくら才能があっても身分が低かったらこの世の中やっていけないんだ」

「それでも闇に手を染めたら負けだ!!」


 ベイル先輩の言葉にレインは顔を背ける。


「おまえが魔法学校でどんだけ辛い思いをしたか分かっている。……でも、あいつらと同じようにしてたらおまえは負けを認める事にらなるぞ?」

「……」

「……ほら、行くぞ」


 ベイル先輩は顔を背けるレインの肩に手を回して歩き出す。

 レインもまた何も抵抗する事なくベイル先輩と一緒に歩き始めた。


 あいつ……。

 魔法学校……やっぱりあいつは学校で何かあったのか。


「あいつは僕と同じ年でベイル先輩と同じ施設にいたんだって。それでベイル先輩を兄のように慕っていた。ベイル先輩もレインの事を弟のように可愛がっていて、ベイル先輩は戦士学校に、レインは類まれな魔法使いとしての能力で魔法学校に特待生で入ったんだってさ。でも、魔法学校はお金もかかるから貴族の中でも有名どころが集まるでしょ? それでレインは身分が身分だからいじめられた上に先生にも見放されたらしいよ。学校で身分の差なんか関係ないのにね」

「ライア君……」

「まっ、ここに来るまでにベイル先輩から聞いた話だけどね」


 そうか、あいつにはそんな過去があったのか……あいつのやった事は許されないけど、何かやるせない気持ちだ。


「あっ、雨だ」


 なんだか、この事件のようにすっきりとしないのを表すように、どんよりとした空から雨が降ってきた。

 何か後味悪いな……。


 こうして一連の事件は終結した。

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