第百三十九話 決着の時
そう言って男は詠唱を始める。
「火の精霊よ、深炎によりーー」
さっき俺が魔法を防げなかったので、それが有効だと思ったのか男はさっきと同じ魔法使おうとしている。
こうなったら、さっきの魔法をかわしてから、あの光の膜をなんとかするしかない。
「対象を燃やし尽くせたまえ、アビス・ボルケーノ!」
男がそう言うとさっきと同じように灼熱の炎が俺に向かって飛んで来る。
「どっちが力が上か力比べだ!!」
俺は無詠唱で魔力を込め、向かってくる炎に対し、俺の長所である無尽蔵の魔力をどんどんと送りながら氷魔法を放ち、俺は駆け出す。すると、魔法がぶつかった瞬間に轟音がなり爆発が起こる。
「うぉぉおおお!!」
俺はその爆発の中、風を纏うよなイメージで熱い水蒸気を避けながら男に肉薄して闘気、さらには気功も使い右拳に魔力を集める。
「終わりだぁあああ!!」
「効くもんーーなに!?」
俺の右ストレートは光の膜に当たって阻まれるかと思ったけど、次の瞬間に光の膜にヒビが入り、粉々に砕け散った。
そして、俺の右ストレートが男の左頬を捉え、男は吹き飛ぶ。
「俺の勝ちだ! もうやめろ!」
「う、うるさい、俺はまだ……」
男は吹き飛ばされダメージを負いながらも立ち上がろうとする。
「仕方ない……」
ここでまたあの光の膜を張られてはやっかいだ。俺は少し気が乗らないけど、加減しかながら男に向かって雷魔法を放つ。
「ぐわぁぁあ!」
男は吹き飛ばされた時に、さっきの爆発で出来た水たまりに濡れていたから、余計に感電しやすくなっていた為に全身が痺れたようだ。
「もうやめろ……」
俺は男の元へと向かい告げた。
「う、うるさい……俺は」
男が言葉を口にしながら立ち上がると後ろから人の走ってくる足音がした。




