第百三十八話 阻む光
あの光の膜が魔法を防ぐのなら、物理攻撃で!
俺は光の膜へと右ストレートを放つ。
「くそっ!!」
しかし、俺の拳は光の膜へ阻まれ男には届かない。
この光は魔法だけじゃなくて物理攻撃もダメなのか!?
そうしている間に男は詠唱を口にする。
「火の精……霊よ、深炎……により、対象を……燃やし尽くせ……たまえ、アビス・ボルケーノ!」
「くっ!」
俺は男が詠唱すると同時にチェスター先輩の時みたいに氷の壁を張る。
「ぐわぁぁあああ!!!」
しかし、男の魔法は俺の作った氷の壁を破り俺を襲う。
その炎は灼熱で俺は咄嗟に再度氷魔法を放ったけど、手前で爆発し俺は飛ばされる。
「くっ……」
爆発と水蒸気によって火傷したのか全身を痛みが襲う。俺は自分に治癒魔法をかけながら男を見据える。
「まだ生き……てるとはな」
男に展開している重力魔法が俺の意識が途切れた事で消え、男は立ち上がる。
「おまえはいったい何者だ……?」
「さぁな? 戦士学校の生徒だけど?」
「……それほどの魔法が使えてなんで魔法学校に行かない?」
「そんなの関係ないだろ?」
「……おまえも貴族にハメられたのか?」
「おまえも? 貴族?」
俺の言葉に男はしまったと言うような表情をする。
なんだ? こいつは何かあってこうなったのか? おまえもって……まさか魔法学校の元生徒か? ……思えばこれほどの魔法が使えるんだからありえる。重力魔法なんて普通は使えないはずだ。この世界は基本四属性らしいし、重力魔法を使えるこいつが魔法学校に行っていないという事はないと思うけど……。
「……ちょっとお喋りが過ぎたな、行くぞ!」




