第百三十七話 男の力
男はそう言うと同時に詠唱を始める。
「この星が生みし巨大な力よーー」
「させるか!!」
俺はそうはさせまいと、男の魔法を止めるべく、男に向かって無詠唱で水の玉を放つ。
水魔法ならそれなりの衝撃があっても、大怪我にはならないだろう。
すると、次の瞬間には轟音を立て魔法が命中する。
やったか?
そう思ったけど、俺の考えは甘かったようだ。俺の水魔法はあいつの周りにある光によって遮られてダメージは与えられていないようで水魔法は男に届いていない。
「我が意のままにその力を発せよ、グラビティ・サークル!」
男はその光景にニヤリとするとおそらく重力魔法であろうものを放ってくる。
「くっ……」
それと同時に俺の身体が何かが上から押さえてくるように重くなる。
俺はすかさず重力を反発させるイメージで無効化する。
「効くか!!」
「なにっ!?」
男は俺の様子に驚きを隠せないようだ。
俺が魔法を無効化した事に対してか、無詠唱に気づいたのかはわからない。
でも、そんなの気にしている場合ではない。
俺はすかさず同じように重力魔法を展開してみる。
「ぐっ……」
どうやら効いているようだ。
あの光の膜も重力は防げないようだ。
「くらぇぇえええ!!!」
俺は今がチャンスとばかりに闘気を発動させたまま、男へと肉薄した。




