第百三十五話 倉庫街へ着きました
外へ出ると空は雲が覆っていて、今にも雨が降り出しそうな様子で、これからの事を暗示するかのように不気味な空気を作っている。
俺はその中、街の人や外の見張りに見つからないようにある程度高度を上げて街の外を目指す。
この世界には空を飛ぶ魔法なんて存在してないから、警戒して上を見上げる事は無いだろうけど、天気とか気にして上を見上げた時に見つかったら厄介だ。
そう考えると、ある程度高度を上げる必要がある。今思うと、この天気は明かりを減らし、身を隠すのは好都合な天気だな。
俺はそんな事を考えながら街の上空を飛んで移動する。上空は少し冷えるけど、我慢出来ない程ではない。そして、しばらく飛んでいるとベイル先輩とジャグナル君が入院している病院が見えた。
病院を見ると俺の胸は締め付けられる。
ジャグナル君……ベイル先輩……必ず、この一連の事件解決してきます……。
俺はそう心で決意をし先へ進む。
そして、街の城壁を越えたところで誰にも見つからないように地面に降り立つ。
「さて、行くか」
俺は視線の先に見える倉庫街へと向けて歩を進めた。
ーーーー
倉庫街に着くとそこには誰も人影がない。
というのも、この倉庫街は昔使用されていたけど、今は使われていない倉庫街だからという事だからだ。
建物の老朽化が進み、さらにはこの一体は魔物が出やすいらしくて、街から少し離れているから警備の手がかかるという事で、街の北の近くへ新しい倉庫街を作ってそっち移動したらしい。
それでここは魔物の巣窟となって誰も近づかないってライア君から聞いた。
ちなみに魔物は邪神が生み出したと言われるが賢者が邪神を封印しても魔物はいなくはならなかったらしい。
俺は誰もいないなんとも言えない空気の中、一人使われなくなった倉庫街を歩く。
でも、魔物の巣窟という割には魔物が出ないな……?
俺がそんな事を考えていると俺の歩く先に人影が現れた。




