第百三十四話 いざ、最後の戦いへ
「じゃあ行ってくるねライア君」
「うん、気をつけてねライト君」
チェスター先輩らとの抗争の翌日、俺たちは衛兵からいろいろ事情を聞かれた。
それこそ最初は新米の衛兵に圧迫面接のように俺たちも悪いと決めつけて聴取されていたけど、途中からベテランの衛兵さんに変わった。というのも、魔導具を持っていたのが二年生だと言う事が分かり、どちらかと言うと俺たちの方が正当防衛に当たるという事、そして普段から俺たちが真面目(?)に訓練に取り組んでいたのを見ててくれた衛兵さんが多いからだ。
そして、俺が使った魔法に関しても今のところ二年生が使っていた魔導具によるものという事で話が進んでいるようだ。
でも、いずれ検証が始まれば魔導具ではあの爆発が再現できないと気付かれるだろう。
それでも、今日を乗り切れたのはありがたい。
今はもう夜であり、これから奴との待ち合わせ場所に向かうところだ。
それにしてもなんだろう……俺とライア君のやりとりって彼氏、彼女のやりとりじゃないだろうか? やっぱりライア君は……いやいや、最初に言ったのは俺だしな。
「ライト君の無事を祈ってるよ」
俺が変なやりとりだと思ってるとさらにライア君は追い討ちをかけるように言ってくる。でも、その顔は笑っていて俺が思っている事と同じ事を思ってあえて言って来たんだろう。
俺の肩の力を抜かせる為に。
「あぉ、待っていてくれ」
俺はライア君に合わせて同じように冗談っぽく返す。
最初ここに来た時はどうなるかと思ったけど、今はこうやって冗談を言える友達も出来たしたくさん仲間も出来た。
だから……
「じゃあ行ってくる!」
俺はそう言って窓から出て魔法を使い空へと上がる。
俺たちの軟禁されている部屋は二階という事もあり、外まではそんなに警戒されていない。それにドーラ君は今バルテル君に連れられ無理矢理連れションに連れて行かれた。
バルテル君も何か空気を察してくれたらしい。
俺はこの学校で大切な仲間を手に入れた。
だから、俺はそんな大切な仲間を痛めつける奴は絶対許せない。
あいつに勝ってこの事件のすべてを暴き、平和を取り戻してみせる。
俺はそんな事を思いながら指定された場所へと向かうべく動き出した。




