第百三十二話 戦いの後
「やっと解放されたね」
時間は深夜の2時。
俺たちはあの後、衛兵さん達に事情を聞かれ現場検証で何があったのかの説明をさせられた。
そして、いろいろ聞かれて寮に返されて俺たち一年のメンバーは一部屋に纏められた。
もちろん、外には見張り付きだ。
学校の先生も深夜に衛兵に呼び出され注意されたようだ。寮の先生も嫌な予感が的中したと嘆いていた。
魔導具に関しても事件となって明るみに出て、さらに学校としても二年生の大半が関わっているとなって対応は大変なようだ。
ちなみにジャグナル君は意識が戻らずそのままベイル先輩と同じ病院の方へと搬送されている。
「あぁ、それにしても途中から何が起きたか俺も分からなかったぜ。爆発もあったみたいな感じだしよ。何があったんだ?」
とここで唐突にドーラ君が俺が隠したいところをつついてくる。
どうしよう……。
「あれはもしかしたらチェスター先輩の魔導具が暴発したんじゃない?」
ライア君が俺を庇ってくれるかのように嘘を言って助け船を出してくれる。
ありがとう、ライア君。
「いや、暴発してたらその後おかしいだろう! その後もチェスターの野郎は使ってたんだしよ」
ゔっ、なんでドーラ君はこんな時に限ってよく気付くんだ。
「魔法、連射、ぶつかる、爆発、した」
「おぉ! そうか! チェスターの野郎慌てて連射して魔法同士がぶつかって爆発したのか! バカな奴だ!」
ドーラ君は考えれば違うと分かりそうな返答に納得したのか分からないけど、高らかと笑い声を上げる。
そして、そんな中バルテル君は俺の方を向いて無言で頷く。……もしかして、バルテル君は俺が魔法を使ったところを見たんだろうか? その辺はあの時詳しく見てなかったからなんとも言えないけど、バルテル君の反応からして見られていたのかもしれない。
「まぁそれはいいとしてジャグナルの奴、大丈夫なんだろうな……?」
ジャグナル君……俺がすぐに治癒魔法をかけても意識は戻らなかった。後はジャグナル君の気持ち次第なんだろうけど……正直どうなるかは分からない。ただ言えるのは予断を許さない状態だという事だ。
ドーラ君の一言で俺は心痛な気持ちになった。
「大丈夫、信じる」
「そうだな……うるせぇやろうだけどいないといないで張り合いないしな。まぁあいつなら大丈夫だろうよ」
「そうだね。まぁライト君にこてんぱんにやられても大丈夫だったしね」
「そう言う言われ方すると……」
「はは! まぁこんなしんみりしてたらジャグナルの野郎に何言われるか分からねぇし寝るか!」
「そうだね、明日もいろいろあるだろうし」
俺とバルテル君もドーラ君とライア君の言う事に同意して寝る事にした。
明日の夜は俺はあいつと決着つける。だからジャグナル君も頑張って……。
必ず意識を取り戻してくれ。
俺にはそう願う事しか出来なかった。




