第十二話 足を踏み入れた先
俺が心の中で叫んだ理由はまずパッと見た感じ女子がいない。
目がおかしくなったのかと思い見直したがやっぱりいない。
いや、きっとショートカットの女の子が……って思ったけどやっぱりいない。
いや、今日は休んでいるだけだと思ったら席は埋まっている。
やっぱりいない……女子がいない!
「おい、誰だテメェ」
そして、もう一つの驚いた理由。
それは男子ばっかのクラスという事でよくある光景。
クラスを見渡して女子がいない事を確認してショックを受けた次の瞬間に、俺の脳は二種類の男子を認識した。
まず大人しく椅子に座り背筋を正しく伸ばしている真面目な男子。
その男子達は教室のドアが開くとの姿を見て温かい視線を送ってくる。
もしかすると同種だと思われたのかもしれない。
そして、もう一種は今俺に声をかけてきた生徒。
簡単に前世の言葉でいうと『ヤンキー』という人種。
パッと見でクラスの八割を占める人種。
俺が教室に入った瞬間から鋭い視線を浴びせる。
まぁヤンキーはどこにいでもいるしそれはまだ分かる。
しかし、目の前にいるのは所謂リーゼントと呼ばれていた髪型だ。
これは絶滅したはずじゃなかったのか……?
「おい! ジャグナル座れ!」
「チッ」
ジャグナルと呼ばれた生徒はクライフ先生の言うとおり大人しく席に……座らず俺を下から見上げる。
「おまえ放課後体育館裏来い」
……まさか、初日から絡まれた!?
しかも、まだ自己紹介も何もしてないのに。




