第百二十八話 乱入者が現れました
「グホッ!!」
俺の拳に衝撃が伝わる。
俺の拳はチェスター先輩の鳩尾を捉えチェスター先輩の身体がくの字に曲がった。
そして、俺の拳を受けたチェスター先輩はお腹を押さえたまま、そのまま地面へと倒れる。
「やられる方を味わってどうだ!? おまえなんでそんな簡単に人を傷つけられる!? なんで!!」
俺は倒れるチェスター先輩の髪を掴んで立たせる。
いくら憎いとは言え殺すような事はしてはいけない。だから、闘気を使っているとはいえ闘気を使えない人間相手で以上、加減はしている。でも……。
「ジャグナル君が何をした!? そんな魔導具を使って……死んだらどうする!?」
あの魔導具の威力……少し間違えば……いや、普通に死んでもおかしくない威力だ。
あんなものを魔法を使えない人間に向けて打つなんて……。
「答えろ!! チェスター!!」
俺は怒りのあまりに呼び捨てにしてしまう。でも、そんなの気にしてられない。むしろ『先輩』なんて呼ぶ価値がないくらいだ。
「なんとか言え!!」
俺はチェスター先輩の頭を揺らして言葉を吐かせようとする。周りも俺のあまりの変わりように静まり返ってこっちを見ているようだ、でも、チェスター先輩は口を開かずヘラヘラとしている。
俺はその様子にまた苛立ちチェスター先輩を地面に倒して馬乗りになる。
そして顔を殴りつけた。
ジャグナル君をやっといて……こいつは弱いくせに道具を使って……卑怯な……こいつ……こいつは!!
「ライト君やめて! それ以上は!!」
俺の背後からライア君が両腕を羽織り締めで止める。
「でも……でもライア君こいつは!!」
ジャグナル君をやったんだ! それも素手に対して魔導具で!! 魔導具に頼らなければこんなに弱いのに!! それだけじゃない! ベイル先輩も!!
「へ、へへ……」
「なんだ!!」
「まさかこれ……ほどとは……な。ちょっと……油断……したぜ。でも……グッ!?」
「っ!? これは……」
突如として身体の上に何か乗ったかのように重くなる。
なんだこれは……魔法か? もしかして重力魔法か!?
そして、闘気を発動してなんとか立っている俺と気功を使い何と片膝をついて態勢を維持しているライア君以外は立っていられず地面に這いつくばらせられる。
これはたぶん重力魔法だ。何かの毒とかいろいろ考えたけど、みんなにこれほどの効果を与えるのはそれしか考えられない。でも、これはいったい……誰が……?
「役立たずが……」
すると、森の奥から人影が現れこっちに向かってきた。




