第百二十三話 開戦
チェスター先輩の叫びと同時に魔導具を持った二年生が俺とジャグナル君に向けて魔法を放つ。
その瞬間、俺は闘気を発動させジャグナル君を抱え上へと飛ぶ。そして上空から下を見ると俺たちの来た前方から半円を描くような形で魔法を放たれていた。
どうやら、魔導具を持った二年生は前方にしかいないらしい。
二年生はまさか上に避けるとは思わなかったみたいで呆気に取られたみたいで驚いている。
よく考えれば円を囲うようにした場合、反対側から打たれた物が避けられた場合、味方に当たる。
だから、チェスター先輩は自分の反対側には魔導具を渡さなかったのだろう。
でも、反対側にいた二年生は避けた魔法が当たる可能性がある。つまりチェスター先輩は自分だけは安全圏にいるようにしたのだろう。
……なんて卑怯な奴だ。仲間を危険にさらすなんて。
「なに!?」
「まさか上に避けるとは!?」
「お、おい!?」
「ぎゃあああああ!!」
チェスター先輩の叫びに警戒した俺はもちろん、後ろにいたバルテル君、ドーラ君も射線から退くように避け、ライア君に至っては俺を狙っていた生徒の隙をついて気功を発動させ向かって左側の方の魔導具を持った二年生へと肉薄する。
そして、俺が避けた魔法……今回は炎だけじゃなくて水魔法もあったけど、それらは俺たち一年生に当たる事なく俺たちがみな避けると思わなくて意表を突かれた背後を囲っていた二年生の何人かに当たり叫び声が上がる。
「ジャグナル君! どっかに避難して!」
俺は着地すると同時にジャグナル君に声をかけ離すと作戦とは少し違う形になったけど、ライア君の反対側の魔導具を持った二年生の方へ詰め寄る。
そして、着地する前に見た光景ではバルテル君とドーラ君は後方の魔導具を持たない二年生へと向かっていた。
みんな大丈夫だろうか? でも、みんなの安全を確保する為にも早く魔導具をなんとかしないと……。
こうして俺たち一年生対二年生の戦いは幕を開けた。




