第百二十一話 対峙
「……よく来たな」
「……何としてもベイル先輩の真相を知りたいんでね」
俺たちは人影に近づくと案の定その人影はチェスター先輩だった。
俺たちは歩を進め、チェスター先輩と二十メートルくらい離れたところで立ち止まるとチェスター先輩は声をかけてきた。
その表情からは焦りの色も、不安の色もない。普通ならば一対五で不利な状況だろうからそんな顔はしてられないだろう。
やはり周りの木々に他の二年生が隠れているのだろうな。
「おい……ベイル先輩をどうやって倒したんだ? おまえの実力じゃ無理だろう?」
唐突にジャグナル君がチェスター先輩に口を開く。
「……ふん、生意気な奴だ。俺の力も知らないくせに。ジャグナルと言ったか? 所詮おまえは一年のトップにもなれない凡人だ。二年のトップである俺に対する言葉は気をつけろ」
「何を!?」
「ジャグナル君おちついて!!」
俺は飛びかかろうとするジャグナル君を抑える。
きっと周りにチェスター先輩の仲間がいるだろうしその中には魔導具を持った奴もいるだろう。
急に飛び出すのは危ない。
それにジャグナル君は今感情的になっていて周りが見えていない。このまま突っ込んだら危険だ。
「離せライト! こいつ……こいつは許せない!」
俺はチェスター先輩に殴りかかろうとするジャグナル君を必死で抑える。
「ははは! 威勢だけはいいな! ……いいだろう。俺も話し合いをしに呼んだわけじゃないからな!!」
チェスター先輩は笑い声を上げたかと思うと叫んだ。
すると、周りの木々から二年生達が俺たちを囲むように出てきた。




