第百二十話 待ち受けるもの
俺はジャグナル君の視線の先を辿る。
すると、木々がなく少し拓けた空間の場所に一人の人影を確認する事が出来た。
こんな場所に拓けた空間があるとは……。
まぁでも、戦うとなった場合、向こうが魔導具を使ったり大人数で戦うつもりならこういった場所じゃないと無理だろうしな。
それにしても一人の人影しか見えないって事は他のメンバーはどこにいるんだろうか?
そしてあの人影は……。
「あれはチェスター先輩……?」
「どうだろうね? でも、その可能性は高いかな? わざわざ呼び出して自分が待ち受けないってのは面子も立たないし二年の番長としてやれないだろうからね」
「面子を気にするなら一対一で正々堂々戦えってんだよ! 大人数引き連れて来やがって」
「仲間、どこ、いる?」
「……まぁ近くに行けば全部分かる事だ」
ジャグナル君は思い詰めた顔をして呟く。
普段しないようなその顔は俺の心を不安にさせる。
……ジャグナル君。
「おい、あんま思い詰めんなよ?」
「……あぁ大丈夫だ」
「本当かよ?」
ジャグナル君はその問いには言葉を返さず人影の元へと歩を進める。
ドーラ君、バルテル君、そしてライア君すらも何も言えずその後を追う。
ジャグナル君……本当に大丈夫だろうか?
「……ライト君、行くよ?」
「あ、うん」
足を止めていた俺はライト君の言葉に返事を返すとジャグナル君の元へと走る。
一抹の不安を胸に抱きながら……。
新連載『異世界でケアマネージャー始めました 〜
異世界の問題が高齢化だった件〜』を始めました!
良ければ読んでやってくださいm(__)m




