第百十九話 森に到着しました
俺たちは歩き続けついに指定された森へと足を踏み入れる。森は夜と言う事もあり、薄暗く視界も悪い。さらには木々の覆い茂った葉が月明かりを遮っている為に余計に暗く感じる。
普通の人ならこの時間にこの場所を訪れたりはしないだろう。
……だから、チェスター先輩はこの場所を選んだんだろうか?
「それにしても不気味だね。二年生の半分が来ているにしては静か過ぎる」
確かに……。
二年生の半分……一クラス四十人程で三クラスだから単純計算で六十人程はいるはずなのに。
「けっ、どっかで隠れているんだろよ! 卑怯な奴らだぜ」
ドーラ君の言う通りおそらくどこかで隠れているんだろうな。
チェスター先輩もこの前の様子だと余裕があるようには見えなかったし。
「警戒、する」
「そうだね。ここら辺からいつ何が起きてもおかしくない。……じゃあ少し予定変更でライト君、ジャグナル君先頭お願い出来る? 僕は後ろを警戒するから」
「……分かった」
「え? あぁ、うん、分かった」
「へっ、ライアビビってるんじゃねぇか?」
「ん? じゃあドーラ君が後ろ行く? 後ろって見えない背中からの攻撃に警戒しないといけないから大変だし代わってもらえるかなら嬉しいけど?」
「くっ……」
「ドーラ、無理、不器用」
「うるせぇ! ほら行くぞ!」
「ドーラ、声、でかい」
「ぐっ……!!」
「あっ、予定変更するけど、もちろん戦闘になったらライト君と囮役になるからね?」
ライア君の言葉にみんな複雑な表情を浮かべる。
ライア君は進んで危険なところを引き受けていくから。確かにいろいろ経験値と知識が高いのはライア君だろうし。
俺ももっと頑張らないと……。
でも、ライア君なんだかんだ言っていろいろ考えてくれてるんだな。
たぶんジャグナル君を先頭にしたのはベイル先輩の件があるから言っても前に行くだろうし、それなら俺と一緒にいる方が俺は初速が速いから何かあっても対応できると思っての事だろう。
それに、バルテル君はスピードがない分、第二陣の方がいいだろうし、ドーラ君はオールマイティだから真ん中にいたら状況に合わせてどうとでも動いてくれると思っているのだろう。
そして、いろいろ警戒や対応が必要な後方警戒は自分がして、後ろをから全体を見て状況を把握して指示を出そうとしているんだろうな。
……ライア君はやっぱり凄いな。
「ん? あれは……」
俺がいろいろ考えているジャグナル君が言葉を発した。




