第百十二話 不穏な空気
「さて、チェスター先輩は何を考えていると思う?」
「どうだろうな? あの様子を見る限りではなんか企んでいやがりそうだけどよ」
俺たちは今俺の部屋で集まっている。あの後、俺たちは赤髪と青髪を2ーAの教室に置いて午後からの授業を受けて帰ってきた。
意識を取り戻した赤髪と青髪や二年生から何かあるかと思ったけど、何もないまま午後も普通に時間が過ぎ、寮に帰ってきた。
もちろん、赤髪と青髪から奪った魔導具は回収してある。
管理の方は俺とライア君が一つずつ隠し持つ事にした。一箇所にまとめて置いておくと万が一見つかった時に証拠がなくなる為だ。
今は午後八時であり、九時の待ち合わせまでの時間、俺の部屋に集まって話し合う事にして、いろいろ話始めて一時間くらいになる。
主に今日までの事を振り返って考えていたけど、答えは出ない。やはりチェスター先輩に言われた場所へ向かわないとこれ以上は推測の域を出ない。
「普通に考えたら、街の外に呼び出すって事は大人数で待ち伏せとか考えていそうだけどね」
「そうだよね。やっぱりその線が一番強そうか」
「俺、そう、思う」
「バルテル君もやっぱりそう思うか。問題はどれだけの人数がいるかだよね」
人数がどれくらいいるか……それが分からないのがこわいな。最悪……いざとなったら俺の魔法を使うけど。魔法使ったらいろいろバレるけどみんなの命には変えられない。
「へっ、何生温い事言ってんだよ! そんなの全部倒せばいいだろうが!!」
「ドーラ、無理、返り討ち」
「いつもいつもうるせぇ!!」
「いや、でもバルテル君の言う通り楽観は出来ないよ。相手の人数が分からない上に相手には魔導具があるかもしれない。二人分の魔導具は奪ったけど、そもそも魔導具をどれだけ持ってるか分からないし」
ライア君はいつもみたいにドーラ君をからかうかと思ったら真面目に言葉を返した。
それだけ今回の事が危険だと思ってるって事だろう。
「……でも、やるしかない」
ジャグナル君は真面目な表情をして呟く。
それは何か覚悟、決意した顔だった。
その顔を見て俺たちもみんな頷く。
待ってろよチェスター先輩。必ずやってきた事を暴いてやる。
「よし、そろそろ時間だ。行こう!!」
「「「「おう!」」」」




