第百七話 任務完了
その声の主はジャグナル君とドーラ君だった。
二人はこの地形の特性を活かして、赤髪と青髪の二人が俺とライア君に照準がいっている間に相手の視界に入らないように迂回しながら二人の背後に回ったようだ。
そして、二人同時に赤髪と青髪に背後から襲いかかる。
タイミングを二人で合わせた訳じゃないだろうに一緒のタイミングとは……やっぱりあの二人は合ってるな。
というか、いろんな意味で被ってるな。
「「な、なにぃ!?」」
赤髪と青髪もまた二人同時に声を発する。
ジャグナル君とドーラ君は後ろこら羽織締めする形で二人の動きを止める。
その光景を見た俺とライア君は一気に赤髪と青髪に肉薄する。
「「や、やめろぉぉおおお!!!」」
俺とライア君は二人の持っていた魔導具を取り上げた。
これが魔導具……見た目は銃みたいだけど、持ってみた感じは意外と軽い。
こんな物から魔法が出るとは……いったいどういう原理か分からないけど。
感覚とイメージで魔法を使っている俺からすればこれを分解してみたところで何も分からないだろうな。
でも、こんな物から簡単に魔法が打てるとは……みんながみんな魔法が使える訳じゃないってなってるこの世界からすれば脅威だな。
「「うるせぇんだよ!!」」
「「ぐっ……!」」
俺が魔導具を持ちながらいろいろ考えていると、ジャグナル君とドーラ君は赤髪と青髪の後頭部に衝撃を与え気絶させる。
そして、バルテル君がどこからか持ってきたロープで手早く赤髪と青髪の二人を縛り上げた。
あれくらいの衝撃ならおそらく別になんの異常もないだろう。ただ気絶させたって感じだな。それにしてもバルテル君は手際が良いな。それこそなんかこんな場面って何かのアクション映画でどっかに潜入した時に見つかって戦闘が終わった後のワンシーンみたいだ。
「任務、完了」
いやいや、任務完了って……。
俺はいろいろ思う事があったけど、満面の笑みでそう告げるバルテル君に何も言えなかった。




