第百六話 反撃開始します
とりあえず俺は小声で詠唱を行い身体強化の魔法をかけた。それから無詠唱の身体強化もかける準備をして口を開く。
「ライア君!!」
準備が出来た俺は叫んだ後、一呼吸を置いて木から飛び出す。
「出て来やがった!! 打て!!」
赤髪が言葉を発し、魔導具の引き金の指に力を入れようとする。
「こっちも出て来やがった!!」
次の瞬間には青髪が言葉発する。
そう、俺が飛び出すとほぼ同時にライア君が飛び出したのだ。ライア君の合図は同時に飛び出す事、つまりは標的を一人に絞らせずに相手を混乱させる作戦だった。
赤髪と青髪は俺とライア君目掛けて魔導具から魔法を放つ。
しかし、それは詠唱の身体強化、無詠唱の身体強化をかけた俺の前では問題なかった。
ライア君の方も気功も使っているし、相手の動きを読んでいるのか、打つ直前くらいには動作を始め、魔導具から放たれる魔法を避けている。
「くそぉぉおおお!!!」
「なんなんだこいつらは!?」
赤髪と青髪が叫ぶ中、俺とライア君は魔導具から放たれる魔法を交わしながら徐々に距離を詰める。
「く、くるなぁ!!」
「ちっ、くそぉぉおおお!!!」
赤髪と青髪が俺たちに魔法が当たらない事で焦りを覚えてもはや照準が合ってない。
よし、この調子ならーー。
「「俺を忘れるなぁぁあああ!!」」
俺とライア君が赤髪と青髪に迫ろうとしたところでハモった二人の声が鳴り響いた。




