第百四話 赤髪と青髪
「やっぱりおまえらか」
青髪の男が俺たちに向かって言葉を放つ。
こいつらがチェスター先輩の側近……今は魔導具が見えないけど、どこかに魔導具を持ってるかもしれないし油断は出来ない。
「それはこっちの台詞ですよ」
俺は青髪の男に言葉を返す。
俺たちからすればその言葉はそのまま向こうにも言える事だ。
何も困る事がないなら俺たちをほっといても支障はないはずだ。
それなのにあえて接触してきた。
プライドの問題だけなら、チェスター先輩が出てくるだろうし、もっと大きな事になるかもしれない。でも、そうしないのはあまり目立たないように処理したいってのがあるのだろう。
「へっ、一年のくせに調子乗りやがって」
次に言葉を口にしたのは赤髪の男だった。
「おい、ベイル先輩をやったのはおまえ達か?」
さっきから険しい表情をしていたジャグナル君が一歩前に出て言葉を放つ。
ジャグナル君……きっとベイル先輩をやった奴を許せないのだろうな。
「……だったらどうする?」
「許さない」
「許さないだぁ? へっ、大きな口を聞きやがって!」
「いやいや、口が大きいのは先輩達でしょ? カバみたいですよ? カバとバカって反対にしたら一緒ですよね? 先輩達は赤と青で反対だしどっちがカバでどっちがバカですか?」
「ちょ、ライア君!?」
俺は先輩達を煽るライア君に言葉をかける。でも、ライア君は任せといてといった視線を送ってきた。
ちなみにドーラ君はゲラゲラ笑っている。
「バカにしやがって!!」
「だから、バカって言ってるんじゃないですか? 物分かり悪いですね。それよりチェスター先輩はベイル先輩の件に関わってるんですか?」
「……そんなのは俺たちを倒してから聞くんだなっ!!」
そう言うと赤髪と青髪の男は後ろの腰あたりから魔導具を出して構えた。




