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第百二話 ジャグナル君の過去

 「えっ!? どういう事!?」


 ジャグナル君とベイル先輩が戦ってただって? そんな接点あったの? 


 「……ライア、いらねぇ事言うなよ」

 「ゴメンゴメン。でも、ライト君だけ知らないのはいけないでしょ?」

 「まぁ……それもそうか」


 えっ? 俺だけ知らない? じゃあドーラ君もバルテル君も知ってるって事?


 「じゃあ俺から話す」


 ジャグナル君はそう言うと俺の方へと向き直った。


 「あれは俺が入学してしばらくしてからだ。俺は入学してから強さを求めいろんな奴と戦っていた。それこそ弱い奴だろうが、強い奴だろうが、一年生だろうが二年生だろうが三年生だろうがおかまいなしだった。……もちろん、負ける事もあったがな。まぁ勝ったり負けたりだったから余計に荒れたんだろうな。経験を積んで俺はそれなりに強くなった。それこそたいていの奴には勝てる程に。俺はより強さを求めた。その時だった、ベイル先輩が俺の前に現れたのは……」


 そうか。ジャグナル君の過去にそんな事があったのか。ジャグナル君は元から今の力じゃなくて努力して身についたものなのか。やり方は不味かったかもしれないけど。


 「あの人は俺の前に現れて言った。『強さとは力だけではない』と。そして、続けて言った。『人としての行動を考えられない奴は強さを手に入れても良くなる事はない』と。俺はその言葉の意味が分からなかった。だから、俺は喰ってかかった。……もちろん、負けたさ。闘気を使われる事もなく……。その後ベイル先輩は言ったんだ。『何の為の力か? 何の為に力を欲するのか? それを考えろ』って。まぁその時にベイル先輩のおかげでいろいろ考えさせられたのさ」


 ベイル先輩はそんな事を言ってたのか。なんか俺の中のベイル先輩のイメージと違ったな。


 「俺は少しは変わった。でも、俺はベイル先輩に負けても言葉の意味が分からなかった。ずっとモヤモヤしながら過ごしてきた。まぁそれでもベイル先輩の強さには憧れてた。……ベイル先輩の言葉の意味を知ったのはつい最近だ。……ライト、おまえが俺やみんなの為にドーラと戦った時だ」

 「えっ……?」

 「強さとは何か? 力とは何の為に使うか? おまえは争いが好きではなかった。でも、みんなの為に立ち上がり決意した。その時の姿を見て俺はやっとベイル先輩の言った言葉の意味が分かったよ。強さ……力とは誰の為に、何の為に使うのかが大事って事がな。そして、その為には力だけじゃなく、心も大事だと……」

 「ジャグナル君……」

 「まぁ、ドーラ君が反面教師になったって訳だね?」

 「はぁ!?」

 「ドーラ、悪い、違う、意味、見本」

 「て、てめぇら!! 黙って聞いてりゃ!!」


 あぁ、また目の前にいつもの光景が……。でも、これはきっとジャグナル君を気遣ってだな。言い終わった後、気まずそうにしてたしライアが気を遣って他の二人も分かった上で話に乗ってるのだろう。ドーラ君も本気で怒ってる訳じゃないし、根は良いのだと思う。なんだかんだみんな仲良いな。


 「ジャグナル君?」

 「ん?」

 「絶対二年生の悪巧みを止めてやろう!」

 「お……おう!!」


 ジャグナル君は一瞬、きょとんとした表情をしたけど、微笑みながら答えた。

 絶対二年生の悪巧みを止めてみせる。

 俺はそう心に誓った。


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