第九十九話 俺たちに出来る事
翌日、俺たちは二年生の動向を調べる為、もう一度被害に遭った一年生に話を聞いて回った。
「やっぱり脅しに使われていたのは魔導具で間違いなさそうだな」
「そうだね。それに売りつけようとしてきた二年生は同じメンバーみたいだって事」
「あぁ、おそらくはチェスターの側近だろうな。あの時も教室にいたと思うし」
ドーラ君、もう呼び捨てにしてるな。
まぁ、その気持ちも分からなくはない。
「うん、それに二年生の階に行った時、みんながみんな魔導具を持ってるって感じじゃなかったもんね。自分の近くにいる人物にだけ渡しているって考えられるしね」
「魔導具、貴重」
俺たちが被害にあった一年生に話を聞くと、その特徴はほぼ一緒で赤髪の男と青髪の男って事だった。
俺たちが二年生の教室に行った時にチェスター先輩の後ろに陣取っていた二人がそうだった。そう考えると二人はチェスター先輩の側近で、チェスター先輩の指示の元、動いていたって考えるのが普通だろうな。
「それにしてもあいつら調子のりやがって」
ジャグナル君は険しい顔をしながら呟く。
二年生……チェスター先輩はベイル先輩がいなくなったのをいい事に、また学校で物を売りつけ始めたらしい。
聞いて回った時に何人かは被害にあっていた。昨日あの後からまた動き出したのだろう。
「とりあえず、チェスター先輩らの尻尾を掴まなないとね」
確かにライア君の言う通りだ。
証拠がないと言い逃れされてしまう。
その為にも……。
「その為に俺たちで出来る事……学校内の見回りをしない?」




