第九話 入学決定
俺は問題を先送りにしてこのままではまずいと思って父さんと母さんのところへ行ってみようとフランに声をかけた。
あれ以上あのまま二人でいたら何が起きるか分からない。
フランもとりあえず学校に行くってので納得したのか『うん!』って素直に返事をしてくれた。
「あっ、ライト君」
部屋のドアを開けると校長のおっちゃんが振り返って俺に声をかける。
「どうも」
何が『どうも』か分からないけど、とりあえず他に返事が思い浮かばなかったのでそう返事した。
「おっ、ライト」
「ライト……」
俺の父さんと母さんも俺に気付き声をかける。
「いや、今御両親とお話ししてて君の入学が決まったよ!」
そう言って校長のおっちゃんは俺の肩をポンポンと叩く。
「そうですか。分かりました」
よし! これでバラ色学園生活に一歩近づいたぞ!
俺は心とは裏腹に努めて冷静に返事をした。
「ライト……一人で寮生活大丈夫?」
どうやら母さんは俺が一人で暮らすのに対して不安に思っているようだ。
「お母さん大丈夫です。お母さんが家事の事いろいろ教えてくれたし、それにお父さんにみたいに立派になりたいですから」
「ライト……いつの間にか立派になって……」
「ライト……」
母さんも父さんも感極まって目に涙を浮かべている。
そうだ。
俺は立派になる為に学校に行くだけだからな!
でも、特待生で入学だからお姉さんが相手か……。
年上の女性ってよく分からないけどどんな感じだろう……。
「ライト君」
「あっ、はい!」
俺が頭の中でいろいろ妄想していると校長のおっちゃんに声をかけられた。
「これで、君は我が校の生徒だ!」
「はい!」
ふふっ、これでバラ色の学園生活がーー。
「ようこそ、ウェルホルム王立戦士学校へ!」
「はい! 頑張ります! ……えっ?」
「いや〜熊をも抑えるその腕力! 期待しているよ!」
……えぇ!!!
「い、いや、魔法学校じゃ……?」
「いや、何を言っている? 戦士学校だぞ? 君の腕力は武器を持ってこそ活きる! 待ってるぞ!」
そう言って、校長のおっちゃんは家から出て行った。
周りを見ると父さんと母さんは微笑ましく俺を眺め涙を流し、フランは驚いた顔をしている。
……どうやら俺、戦士学校に入学する事たなったみたいです。




