番外編 パニックイベントに、れっつごー(棒)
本日も蒼一兄ちゃんに図書カードで、ほいほい釣られた私は悪役を……今回はやらなくていいそうだ。
何でも大量にお化けに襲われるイベントをするらしい。
ゾンビの方が良いんじゃないか、と私が言うと蒼一兄ちゃんは、
「ア○リカ映画でも日本で公開する時はゾンビ物だって隠すのに、するのはちょっと冒険が必要だから、今は無理かな」
と言われてしまった。
ゾンビをびしばし撃ちたい気持ちもあったが、今回は仕方がない。
というわけで私は見慣れた校舎に向かった。
つまりゲーム内で私が通っていた学校である。
あの時は不安に狩られたが、今は普通の学校の校舎だな~と思うだけである。
さて、私はこれからある人物と、出会う事になる。
今回のお化けを倒すパートナーだ。
試しにランダムにカップリングを決めてみるとの事でそうなった。
ちなみに私の手には既にとある武器が握られている。
武器オタクではないのでそれの種類は分からないが、くるくる回って弾を装填するりぼるばー式? の銃である。
但し無限に弾が装填されるが。
いちいち一発づつ入れずにすむのはいいわ、と思う。
さて、この武器を使って次々とそのお化けを倒していき、お化けにやられる前にどれだけ倒せして点数を稼げるかが今回のゲームである。
だが能力の優れた私に敵などいるのだろうかと、私は余裕を感じていた。
そう、その相棒となる人物に私が会うまでは。
その人物は私を見て微妙な顔になった。
私も微妙な顔になったが。
「今日の相棒はミントか」
「そうみたいね、ユーマ」
そこには、ゲーム内でヒロインの幼馴染役であり、ゲーム内で嫌というほど顔を合わせたユーマがいたのだった。
それから開始まで私達は自由に過ごしていいというかその場で休憩していて根と連絡があったので、私達は休憩していた。
そこで私はこのユーマに対して持っていた違和感が一体何なのかを、ようやく理解した。
「そう、そうよ。ユーマがおかしいから私が変だって感じたのね」
「……何だ、ミント。また変な事でも思いついたのか」
面倒臭そうに言うユーマを見て私はびしっと彼を指さして、
「こういうゲームとか物語の場合、一緒に男女が協力したら恋愛感情が出てくる物じゃない?」
「……俺はよく知らないがそういう物なのか? 恋愛ものって」
「そうそう、それで何となく気になったりいい雰囲気になったりするはずなのよ。でもユーマの場合はそれがない!」
そう、違和感の正体はそれだ。
何時もいつも私に対して警戒してばかりなのは絶対におかしいと思うのだ。
私は真面目にユーマとローズマリーをくっつけようとしていたのに!
そう思っているとユーマが冷たい眼差しで私を見た後、
「すぐに逆ハーレムが面白そうとか、信じないなら他の人に手助けするわとか言い始めるミントの何処に好感度が上がる要素があると?」
「う、反論できない」
「そうそう。しかも悪役ミントは、惚れてきた彼女もちの男を別れさせるような感じにしたあげく、その男を寝取られた方の女もミントに惚れるという超展開を持っている女だぞ? 俺が惚れたらローズマリーもミントに惚れる事になるかもしれないし、そういった意味でも無理だ」
「言われてみればそうね。ふむ」
私もそれじゃあ駄目よねと頷いているとそこでユーマが珍しく楽しそうに、
「それでミントは俺に惚れられて欲しかったのか?」
からかうようなその言葉を聞きながらとりあえず私は正面からユーマを見て、次に下、左右、後ろでユーマを確認してから、
「次を連れて来て頂戴」
「おまっ、地味に酷いな……」
「確かに美形だけれど好みじゃないのよね。残念」
「へ~、誰の姿が一番好みなのかな? やっぱり、ミナト……」
そこで私は明後日の方を向いた。
実は女の子設定のある男キャラだなんて言えない。
見えない地雷に引っ掛かった以前の私を思い出すと絶望的な気持ちになる。
それに気付いたらしいユーマが、
「まさか他に? 現実の彼氏で無く?」
「あの時は彼氏はいなかったし、今はミナトが一番だから良いの!」
私が言い返した所で、始まりを合図する声と共に周囲に大量のお化けらしい? 白い筒状の何かが大量に現れたのだった。
こうして次々お化けを倒していく私だが、
「へぇ、ユーマ、なかなかやるじゃない」
「ミントもな」
といった感じで背中合わせでお化けを私達は倒していた。
すでに大量のお化けを倒していたがそこで私は気づく。
ユーマはまだ気づいていないようだ。
「でもミントが以外に頼りになるって分かったよ……え?」
そこで私は微笑みながらユーマに拳銃を向け、そして引き金を引く。
思わず目をつむるユーマに私は、丁度ユーマの頭上にいたお化けに弾丸を撃ち込み、とろけたマシュマロの様にでろーんと垂れ下がって地面につく前に消えるそれを指さして、
「あれがいるのに全部倒したと油断しすぎね、ユーマ」
「え? あ……いや、ミントっていつも悪役だからここで裏切るのかと思った」
「別に好きで悪役やっているわけじゃないし」
「それもそうだな。よし、ここは全滅させたし次に行くか」
そんなユーマと一緒に私は、お化けを倒して回ったのだった。
結果は私達の圧勝ではあったのだけれど。
こうして私達のゲームイベントは終わったのだった。
あのイベントも好調らしい。
但し一緒のペアになれるキャラは、AIを使ったキャラで設定できるのだそうだが、私、つまりミントの場合、突然銃を向けられたkと思うと背後の敵を倒してくれたりすると言うので、悪役とのギャップが楽しいと好評らしい。
そして相変わらず行動が変でいいそうだ。
「変て何よ、変て」
私は今日もそう怒っていたりするけれど、答えてくれる人は誰もいない。
蒼一兄ちゃんも笑ってはぐらかすだけである。
もう手伝ってやる物かと私はこっそり怒っていたけれど、すぐにまた図書カードで釣られてしまうのでした。
「おしまい」




