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番外編 ファンタジー世界で、私は真の悪役ヒロインになる!-その6

 そんなこんなで私達は装備を手に入れた。

 そしてそれを手に宿に戻った私達だが、


「……」

「……」


 沈黙する、ミナトとユーマ。

 それから二人で部屋の隅に行き、こそこそと何かを話してから頷いている。

 距離が離れているせいで何を話しているかは、私には分からない。


 ちなみにそのとき彼らがなにを話しているのかというと、ユーマがミナトに、


「俺達、愛されているんだろうか」

「……分からない」

「でも、装備としては強力なんだよな……」

「防御力、攻撃力、体力まで上昇し、特殊効果で、回避もしやすくなる……布が少ないからといった理由らしいが、だったらどうして防御力が上がるんだ? 分からない……」

「ミナト、そこは考える所じゃないと思う。でもまあ、俺達が危険にさらされないために取ってきてくれたわけだし、これを装備すると楽といえば楽だぞ」

「……装備するのか? これ」


 ミナトが指さす海パンと白いネクタイに、ユーマは沈黙した。

 けれどミナトはすぐに深々と溜息をつき、


「ローズマリー達もその内ビキニになるし、男性だけがというわけにもいかないのだう。はっ!」

「ど、どうしたミナト」

「確かにこれだけ状態だと防御力等が上がるが、他の装備を付けると下がるらしい」

「それがどうしたんだ?」

「だがここはまだ初めの方。そこまで強い装備はいらない。つまり……私はこの上にマントを付けてしまえば、完全にそんな格好を隠せる!」

「……俺、マントは装備出来ないぞ」

「頑張れ、ユーマ」


 ミナトが無責任に応援したのをユーマは半眼で見た。

 そんなこんなで、結局私とローズマリーは、海パンと白ネクタイだけの二人を、その時、目撃する事は出来なかったのだった。







 そして、色々なイベントを消化しつつ、途中、ミナトを誘ってみた私は、海パンと白ネクタイを恨まれていたのか、お断りされてしまう。

 私って愛されているのだろうか、意気消沈しながらも、ラスボスの住まう魔王の城で待っていた私。

 そこに現れた勇者一行。


 全員が全員、海で遊ぶような格好だ。

 どんな展開だこれ、と思いつつも私は悪役らしいセリフを呟き戦闘を開始する。が、


「ちょ、強すぎ! 回復が間に合わない!」

「この装備はとお―――――っても強いからね。自分だけそんな服でいるからこうなるのよ!」

「って、ちょ、負けちゃう! 一回くらいはゲームオーバーさせてやるって思ってたのにいいいい」


 私が叫び、それにローズマリーが残念でしたと笑い、私に止めを刺したのだった。







 倒された私は一足早く現実世界に。

 そして戻ってきた皆と愚痴をこぼしたり色々した。

 ちなみに蒼一兄ちゃんには、やっぱり由紀に頼んで良かったよ、こういうのを待っていたんだと言われてしまった。

 

 意味が分からないよ。

 特に今回は変な行動はしていないはずなんだけれどな、と私は考えたけれど、結局よく分からなかった。

 そしてお礼の賄賂を受け取ってホクホクだった私だけれど、帰りにこっそりミナト……陸に呼び出されて、彼が貰ったものを私に見せる。


 それは遊園地の券で、二枚あって。


「今度の日曜日に行かないか? 二人で」

「……うん」


 それに頷いた私は、私もこういったデートできそうな場所の券、プラネタリウムとかそういったものにしておけばよかったなと後悔する。

 ただ、蒼一兄ちゃんが先に図書カードといったので、仕方がなかったのかもしれないと私は自分に言い訳した。

 でも、そういった陸の好意は嬉しかったので、私は即座に頷いたのだった。




「おしまい」


ここまで読んでいただきありがとうございました。

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