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番外編 ファンタジー世界で、私は真の悪役ヒロインになる!-その4

 そんな恰好の装備は不公平である。

 だが、それを打開できるものとして、


「ふふふふ、そうよね。こんな所に攻略本が!」


 攻略本を掲げる私だけれどそこでローズマリーは、


「……やっぱり私には見えない」

「素敵な特殊能力だけれど、見せられないのは不便ね。まあいいわ、というわけで男性向けの恥ずかしい装備を探してあげるわ」

「本当!」

「本当です。早速あのエロ男にちょっと恥ずかしい思いをさせてやる。ついでに、ミナトにも(はーと)」

「……ミントも悪ですなぁ」

「いえいえ、ローズマリー程ではありませんわ、くふふふ。さて、何かないかな……」


 そう思って探していくと、結構格好いい装備が一杯。

 これが全部好きなように使えるなんて、ずる過ぎと思いながら、この格好とかミナトがしたらいいなと彼氏の服を選ぶような感覚で楽しんでいた私だが……そこで気付いた。

 その場所に書かれていたのは、“特殊アイテム”。


 どんな職業のキャラでも装備できるようなそんな素敵で強いアイテム。

 見覚えのあるものではあるけれど、この二つがそろうと、途端にアレな感じがするが……。

 そこで、ローズマリーが、


「ミント、何か良さそうなものが見つかったの?」

「ええ、海パン+ネクタイね」

「……」

「しかも裸の状態で、ネクタイは付けないと効果が発揮されないらしい。あ、海パンは、はかないといけないらしいわね」


 説明した私はそこでローズマリーが暗く笑うのを見た。

 この危険な表情に私は、あ、やる気だ、と気付いて、


「どう? これから一緒に私とこのアイテム取りに行かない? 暇だし」

「……いいわ。ユーマにそんな恰好をさせてやる。何で私だけあんなもの装備しないといけないのよ」


 そんなこんなで私は、格好の暇つぶしイベントを手に入れたのだった。







 ミナト、ユーマ、カモミールが戻ってくるとそこにはローズマリーはいなかった。

 けれど代わりに置手紙がおかれていて、それをユーマが読みあげる。


「『ミントと一緒にちょっと出かけてきます by ローズマリー』……嫌な予感がする」

「ああ、ミントが関わっているからな」


 ユーマに、ミナトが答える。

 ミナトの、自分の彼女に対する評価がそれかとカモミールは思わなくはなかったが、けれど完全に否定できない何かがミントにはある。

 そこでユーマがぽつりと呟いた。


「やっぱり俺が、欲に負けてローズマリーに水着を薦めたのがいけなかったのだろうか」

「いや、あれはあれで防御力が高いから……。そもそもなんで布が少なくなると、防御力が上がる? 理屈が分からないが……」


 ユーマの呟きにミナトが答えるが、それにユーマは嘆息しつつ、


「ただ単に、蒼一さんの趣味なんじゃないのか?」

「だが、カモミールは格好がそこまで変わらない……待てよ? この職業を指定したのは蒼一さんだ」

「……自分の彼女はそんな格好はさせない、と?」

 

 じっとカモミールを見るミナトとユーマ。

 確かに彼女の服は、防御力が高くなってもそんなに変わらない。

 それにカモミールは慌てて、


「ま、まさか。だって僧侶になりたいって事前に言ったのは私だし」

「となると偶然か。嫌な偶然だ……更にミントが関わっているし……」


 呟くユーマ。

 それに頷くミナトとカモミール。

 そんなこんなで、不安を抱えながら三人は宿屋でローズマリーの帰りを待ち続けたのだった。



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