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番外編 ファンタジー世界で、私は真の悪役ヒロインになる!-その1

 新しいゲームを作ったらしい。

 そう、私こと由紀は従兄の蒼一に電話で語られた。

 そして若い人の意見を聞きたいから、との事で私も含めて皆にテストプレイをお願いして回っているらしいのだが、私は冷たい声音で、


「……またゲームから出られなくなったりしないでしょうね、蒼一兄ちゃん」

「あー、大丈夫だと思う。というか今回は恋愛シミュレーション+ファンタジーだから、ラスボスが倒されたら終わりだよ」

「ふーん、で、それで今度は私に何をして欲しいの?」

「魔王になって欲しいんだ」

「……」


 私は沈黙した。

 何で私が好きこのんで悪役をやらないといけないのかと思う。

 そもそもこの前、なんちゃって悪役をやったのだから次は主人公とは言わずとも主人公のそばで、気楽な友人ライフを満喫したい。


 しかも今度はファンタジー。

 ラスボスというのだから、きっと仲間と交流を深め恋愛などをしつつ力を合わせて戦闘をしたりといった楽しそうに事にはならない。

 むしろ、ぼっちになる可能性大。


 何が楽しくて、部下らしいゲーム内のプログラムされたキャラ達とだけ延々と話さねばならないのか。

 そんなつまらない事なんて私はする気は全くなかった。なので、


「お断りします」

「そ、そんな! この前の悪役キャラの動きが予想外すぎるからって凄く売れたから、ぜひ、由紀ちゃんにお願いしたいのに……あ、賄賂わいろいる?」

「……物による」


 現金なもので、何かもらえるなら少しくらいは良いかな、と私が思っていると、


「図書カード、一万円分×2、これでどうだ!」

「乗った! というかどうして図書カード?」

「この前、社内の忘年会でビンゴをやって当たったんだ。よし、これで由紀ちゃんは懐柔済みっと」

「……まさか他の人達も?」

「うん。それで快く引き受けてくれたよ?」


 何だかなと思いながら、私は他の人達は何を貰ったんだろうと思いつつ、その日はゆっくり過ごしたのだった。






 悪役だけれど名前はこの前のゲームとほぼ同じらしい。

 せいぜい違うのは、もう一人のミントが、ハッカちゃんになったくらいだ。

 そんなわけで悪役でありラスボス魔王になった私だけれど、実は決まったイベント以外は好きに動いていいらしい。


 以前の様にゲームの中で好き勝手するのが蒼一の望みであるそうだ。

 ちなみに攻略本を私にまたも持たせている。

 こんなもの持たせて私に勝利でもさせたいのかと思うけれど(やはりこのゲームの場合でも、ゲームオーバーになって初めに戻るらしい。記録できる場所は、今回も意図的に抜いているそうだ。何でもその方が臨場感が出るのでは、という事らしい)、この前が上手くいったのでそうする事にしたそうだ。


 とりあえずは攻略本などを確認して自分の能力などを全て確認した私は、魔王っぽい広間の玉座から立ち上がった。

 傍にいた魔族側の男性(美形)一言告げる。


「じゃあ、ちょっと勇者みんなに会いに行ってくるね。それが必要なイベントだから」

「いってらっしゃいませ、ミント魔王様」


 頭を下げる彼を見つつ、私は、この世界のマップと勇者というヒロイン達の居場所が映しだされたマップを確認し、転移の魔法を使用したのだった。




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