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番外編・逃走デートなある日の出来事

 日曜日、というのは学校が休みの日である。

 そんな休日に何をするのかと言えば、


「デート。……初デート」


 口に出してみるとそれはそれで緊張するというかなんというか、と私は思う。

 昨日は夜遅くまで、今日着ていく服を選んでいたのだ。

 デートのための勝負服、それを悩みながらも私は選んだ。


 どうかな、可愛いって言ってもらえるかなとか、などと乙女な……こう、私らしくないというか、本当にもう、どうしたらいいのかと。

 好きな相手には、魅力的に見えるようにしたいというかこう……こう。


「……寝よう」


 着ていく服はもう決まっているんだからと私はその日は寝たのだが、そして次の日。

 デートの日、陸と駅で待ち合わせをしていた。


「一時間前だから、絶対大丈夫だよね」


 一時間前なら絶対に遅れないし、と思って家を出てきた私。

 今日は電車に乗って、ある駅に向かっていた。

 ここで私の行動から、どうせ漫画とかそういったものを求めて秋葉原にでも向かうのだろうと思われたかもしれない。


 だが、違うのだ。

 普通に緑の多い公園に行くだけというデートコースなのだ。

 そんなわけで私はうきうきとしながら電車を下りたわけだが……。


「あれ、由紀?」

「陸? というかみんな?」


 駅のホームで、私は陸と文芸部の皆と遭遇してしまったのだった。






 陸が言うには、一時間前につくように電車に乗っている最中、自分の後を付けている双子の弟などなどに気付いたらしい。

 ダブルデートならぬ、トリプルデートになったかと思えば、その公園に向かえば、


「あ、由紀じゃないか」

「……蒼一兄ちゃん達まで」


 気付けば部活の延長の様な状況になっている。

 私はそれに深々と嘆息した。

 これではいつもと変わらない。


 陸と二人だけでデートしたかったなと思っているとそこで、陸が悪戯っぽく笑った。


「次の角を曲がったら全力で走れるか?」

「分かったわ」


 小さな声で陸が私に言って、何食わぬ顔で角を曲がって……私達は走りだした。

 後ろの方で皆が逃げた、追え! と叫んでいるのが聞こえたが、私は絶対に逃げきってやると思った。

 そこで走りながら陸が私に言う。


「その服、似合っているね」


 その言葉に私は嬉しくなる。

 そしてその日は、私を探す皆から逃げ回りながら、陸とのデートを楽しんだのだった。

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