エピローグ
こうして私達の乙女ゲームにかかわる出来事は終了した。
心ちゃんはいつもの心ちゃんに戻り、私達に凄く謝っていた。
実際に経過していた時間は五時間ほどだったのだが、それでも疲労は大きかった。
あの後は全員家にすぐに帰り寝てしまった。
そしてまたいつものように顔を合わせたのだが、私は呟く。
「全能感を得るとあんな風になるのかしら」
「うう、由紀ちゃん、もう言わないで」
心ちゃんはあの後、姉の花にもたっぷりと絞られたらしい。
ちなみに抱き枕カバーは、心ちゃんがこっそり受け取り隠しているらしい。
そして心ちゃんは文芸部ではしばらく居心地が悪そうだったが、やがていつものように皆と話すようになる。
過ぎた力を持つと、人間はあんな風になってしまうのかもしれない。
そういえば私がミントになっていた時にオタクが多い気がしたが、それは文芸部だったからという事らしい。
あれからあのゲームは大幅に改良され、さらに安全に面白いものになり、現在大ヒット発売中だ。
何でも私の行動が面白すぎて大人気だという。
失礼な。
そんなこんなで、カップルだらけの文芸部にて、私は今日二つのお弁当を持ってきていた。
一つは私の分。
もう一つは、陸の分。
「ありがとう」
「どういたしまして。早く味見してよ」
「その前に、由紀の手を握っても良いかな」
恋人同士になった私達は、最近そういった事を良くする。
そして何故か陸は私の事を可愛いといい頭を撫ぜるのだ。
周りは陸が両想いになって本気になったら由紀を溺愛しまくっている、そしてあの由紀が大人しい乙女みたいになっていると良く騒いでいたり、二人をくっつけるお手伝いをして復讐を果たしたかったと、謎の友情を滾らせていた。
その辺の事情は置いておくとして、こうやって私達がいちゃいちゃいちゃすると、周りもそうしたくなるようで、現在文芸部は不思議な空気に包まれている。
そのせいか巷では恋愛成就スポットとして我が文芸部は言われているらしい。
でも部員は一向に増えないようだ。
そうそう、あの後、花と蒼一兄ちゃんがつき合っているのが発覚したり、また懲りずにゲームを誘ってきたりしてと色々あった。
若い感性が必要なんだ、キリッ、というのと、この前の失敗を修正したので見て欲しいとの事だった。
そのゲームはファンタジーもので、とても面白そうなゲームだった。
そんな風にいつもの日常がめぐっていく。
あの乙女ゲームの騒がしい日々が嘘のように平穏だ。
でも、こんな日々が私は気に入っている。
多分明日もそうだろうと思わせられるくらい、そして陸が隣にいる幸せを私はかみしめる。
こうして私の恋愛無双(笑)の乙女ゲームの物語はは幕を閉じた。
これは、世界が今よりも少し不思議になった時代の……お話。
読んで頂きありがとうございました。
これから誤字脱字の修正に入ります。終わりましたら、あらすじに記載させていただきます。
このゲームは選択式で進めて行くノベルゲーの未来バージョン、それも女性向け恋愛シミュレーション……乙女ゲーだとどうなるのかという空想から書いてみました。主人公は、悪役なのにヒーローだけれどダークヒーローではないという変わった役柄のコメディタッチのお話です。こんな話はどうだろうなと思い書いてみました。
また何か書きましたら、よろしくお願いします。




