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隠れた願望が

「あれ、どうしたのですか?」


 ミント0号とサトルがいたので、私は二人に、


「貴方達には恨みはないけれど、私の目的のために犠牲になって!」

「……由紀ちゃん。そういう事は言わないように」

「はーい。というわけで協力して欲しいんだけれど、いい?」


 私が問いかけると、ミント0号とサトルは顔を見合わせて、


「何をする気なのですか?」

「ここにいるモブという蒼一お兄ちゃんに、お腹を触らせるだけの簡単なお仕事です」


 その言葉に二人は胡散臭げな目で私を見たが、そこでサトルが嘆息し、


「拒んでもする気でしょう」

「もちろん」

「では俺からでお願いします」


 そう聞きわけの良いサトル君に私が安堵しつつ蒼一兄ちゃんがお腹に手を触れる。

 サトルが驚いたように目を見開いた。


「う、ぐ……由紀に、蒼一さん……」

「そうそう。それでミント0号を美奈に戻すから来て」


 ミント0号は戸惑っているようだったが、サトルに誘われてそれをすると、


「由紀ちゃん、怖かったよー」

「はーい、というか今同じ姿だよー」

「そうだねー。もう、心ちゃん、何であんな風になっちゃったんだろう」

「うーん、ユーマが落とせなかったからいじけたみたい」

「うう、とばっちりだよう」

「でも多分もう大丈夫。取りあえず次は楓ちゃん達を連れてこないとね。ローズマリーと一緒にカモミールとユーマが同じクラスにいるから一番最後で、その次は陸を呼んでこないと」

「私達も手伝う?」

「うんん、ばらばらになると面倒な事になりそうだから止めた方が良いよね、蒼一兄ちゃん」


 それに蒼一が頷き、私は屋上にレイとヒュウガちゃんを連れてきて後は任せて、次に陸を呼びに行く。

 上級生のクラスで今は休み時間なのが幸いだった。


「ミナト、いる?」

「ここだが?」

「わ! 背後をとらないでよ!」

「ここは私のクラスだから仕方がないだろう。それで何の用だ?」


 何処となく嬉しそうなミナトに、私は何となくこう、言い出しにくいような気持になりながらも、


「今みんなでちょっと話があって……今すぐ屋上に来て欲しいのだけれど」

「……まあいい、君のお願いをたまには素直に聞いてあげよう」

「……もったいぶらなくても良いじゃない」


 そう不貞腐れたように私はミナトに答えて、屋上に連れて行く。

 そして更にお願いして、蒼一兄ちゃんにお腹に触れてもらう。

 そう言えばどうしてかと先ほど聞いたら、そのあたりにキャラを更生させる中心があるらしい。


 それをそうなんだと思って聞いていると、ミナトの顔がみるみる赤くなる。

 何かを思い出したらしく、すぐに陸は真っ蒼になりながら、


「な、何で俺あんな事を……」

「陸、どうしたの? もしかして遊園地の時に私に抱きつけといった事とかご主人様って……」

「うわぁあああ、違う、あれはそう、そう言うキャラクターの性格を演じていただけで……」

「実は隠れた願望が……」

「ち、違う」

「必死で否定する所が怪しい……蒼一兄ちゃん?」


 そこで私は蒼一に肩を叩かれて、


「カモミールとユーマを呼んでくるんだ。ローズマリーはそのままでね」

「……分かったわよ」


 それに陸がなぜかホッとしていたが、私の今までの思いを全部後でぶつけてやると私は誓いながら走る。

 まだ授業と授業の間の休み時間。そして、


「カモミール、ユーマ、ちょっといい?」


 二人だけに用があると私は呼んで屋上に向かう。

 けれど二人を呼んだ時にローズマリーがついてきた事に、私達は気づかなかったのだった。

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