カモミールと愉快な仲間達・その2(主人公であるミント以外の視点)
他の皆を探していたローズマリー、ユーマ、ミナトだが、そこで見たのは体調を崩しているミントとサトル達だった。
カモミールが嘆息するように言う。
「あのミント様が体調を崩しちゃって、足止めをされてしまって」
ローズマリー達は顔を見合わせるが、そこでミナトが、
「先ほどの蹴りはなかなかだった。相変わらず粗暴だったがね」
そう告げると、ミントとサトルが同時に少し顔をあげてミナトを見る。
二人揃って少し驚いたような顔をしていたが、それは良いとして。
結局サトルがミントの面倒をしばらくみる事になり、他の皆は好きにして欲しいとのミントの希望から別れる事になった。
ヒュウガちゃんがミントと残ると騒いでいたが、
「レイ君に申し訳ないから」
というわけで追い出された。
ヒュウガちゃんはむくれていたが、レイは嬉しそうだった。
そしてサトルとミントだけになった所で、ミントと入れ替わったミント0号は、
「連絡が来ているわね。もう自宅近くだって」
「そうか、それならば……何処に行きたいですか? ミント様」
「……観覧車、かな?」
はにかむように告げるミントをサトルが優しげに見つめている。
そこでふとミント0号が、
「でも、もう一人の私が言っていたように、“ミナト”は私の知っているミナトとは違うようですね」
「そうなのですか? 確かにああの言い様は珍しいとは思いましたが」
「他にももう一人のミントから話を聞いていると、違うように思えるの。でも、彼も私達が良く知っている誰かのように感じる……」
「それを言うならば、ローズマリーともう一人のミントの周りに集まっている人物は、それほど接点がないのに身近な人間のように思える」
「サトルもそうなの?」
「ええ」
「実は私も……これって何なのでしょう?」
首をかしげるミント0号は理由は分からず、結局、約束通りサトルとの遊園地を楽しんだのだった。
カモミールとローズマリー、ユーマ、ミナトは一緒に遊園地を回っていた。
そこそこ楽しくはあったのだが、
「やはりミントがいた方が楽しいな」
「……確かにあのうるさい感じも少しはあった方が良いな」
ユーマとミナトが呟く。
それを聞きながらローズマリーが、
「そうですね。きっとミントさんが一緒ならうまくいって楽しくなるかも」
「ローズマリー?」
カモミールがローズマリーを不安そうに呼ぶけれど、ローズマリーは小さく笑って、
「大丈夫、今度はきっと、上手く行く。それに今回のミントさんは気に入っているからずっと一緒にいて欲しいなって思うの。皆、協力してね?」
その言葉にカモミールはおろか、ミナトとユーマも頷く。
それを見てローズマリーは微笑んだのだった。
ローズマリーとユーマが二人で人数分飲み物やらを買って来るという時に、たまたまサトルとミントと遭遇する。
するとミントはふらっと倒れ込むように近くのベンチに座り込んだ。
どうやら疲れているらしく、サトルが飲み物を買いにその場を離れた所で、ようやくサトルはカモミール達に気付いたようだ。
そんなサトルにカモミールが、
「それでどう? ミントがおかしくなった理由は分かったかしら」
「……ミント様は体調が悪く、それによってあのような言動をしまったようです」
「そうなの? でも私達がずっと一緒に介抱している間に、ミントはユーマとミナトの関係を修復してしまったみたいね?」
「……失礼、ミント様に飲み物を買ってこないといけない」
そう逃げるように去っていくサトルにカモミールは、
「彼、何か隠していると思わない?」
「そうだね。でも彼はミント側についたようだね」
「彼を出し抜かないといけないと思う時が重くなるわ」
「はは、あのミントを出し抜こうとしている時点で、難しいかもしれないがね」
「……そうね、笑い事じゃないけれど」
そうカモミールは、飲み物を買いに行ったその場所でサトルと楽しそうに話すローズマリー達を見て、困ったわねと嘆息したのだった。




