この私の敵ではないわ
待ちに待った土曜日。
地下鉄に乗り遊園地を目指す私。
一応ついた駅で、電話をしてミント0号と連絡を取る。
「もしもし、今集合場所に来ているけれど、現在私以外の全員がそろっているわね」
「もしもし、こちらミント0号。分かりました、移動を開始したら、メールをください」
「……私、貴方のメールアドレス知らないけれど」
「あ、では今送りますね」
「……何で知っているの?」
「GPS関連で……てへ?」
そこでミント0号との通信は途絶えた。
代わりに贈られてきたメールから自身のアドレスに私は登録する。
そして私はメールを用意してから、彼女達に声をかけた。
「遅くなりました」
「いえ、まだ集合時間前ですから」
ローズマリーが私に告げ、カモミールがそれを不満そうに見ている。
とりあえず第一の関門は突破した、後はよろしくとミント0号に私はメールを送る。
服もお揃いにしたので、大丈夫なはずだ。
そして遊園地に入り込み、まずはどの乗り物に乗るかだが、
「まずは王道、コーヒーカップよ!」
「何で貴方が仕切っているのよ」
そう言いだしたカモミールを引っ張っていくと、何故かミナトとサトルがついてきた。
そしてコーヒーカップの一つに、私とカモミールとサトルとミナトが乗り込む。
そんなミナトに私は、
「何でついてきたの?」
「男二人でコーヒーカップは、さすがに私は嫌でね?」
「……複雑な男心ね。でも、ユーマとローズマリーが楽しそうに二人っきりで頑張って回しているし良いかな」
みるとローズマリーが面白がってカップを回し、ユーマが酔う~、と慌てて止めに入っていた。
情緒も何もないのだが、ローズマリーはユーマといる時は特に、色々と心を許しているというか、我儘を言っている気がする。
「我儘を聞いて欲しいのかな? ユーマには」
「……そうかもね。だからあの子、くっつかないのかもしれないけれど」
嘆息するように呟くカモミール。
そこでミナトが、
「私もユーマと彼女が恋人同士になるといい」
「だったら私を悪く行ってからローズマリーを褒めるのは止めなさいよ」
「おや、嫉妬かな?」
「話にならないわ」
私はそうミナトに嘆息する。
そんな私達をサトルは静かに見つめていたのだった。
この後もジェットコースターや、観覧車は何故か私とミナトまでユーマとローズマリーの二人の観覧車に放り込まれてと色々あった。
その次にお化け屋敷に放り込んだわけだが、
「きゃああっ!」
お化けに驚いたローズマリーがユーマに抱きつく。
何というべたな展開というか、ユーマの焦りながらも鼻の舌を伸ばしているような顔もまた、にまにまできるなーと私は思う。
そして私はと言えばミナトに、
「怖かったなら私に抱きついても良いぞ?」
「ご安心を。幽霊ごとき、この私の敵ではないわ」
「残念だね」
と言われてにっこり私は微笑みながらミナトと戦っていたのはいいとして。
そしてオープンカフェで昼食をとろうかという話になったのだが、そこで、
「あれ、ミントさん……今日、遊園地に来る予定だったのですか?」
レイとヒュウガちゃんに遭遇する。
ヒュウガちゃんはとても嬉しそうだが、あれっと私は思う。
二人との接触は、もう少し後のはずだ。と、
「入口で少し話していて、ここの遊園地の見どころが何処なのか私が教えたんですよ?」
そうローズマリーが得意げに言う。
どうやら本来やってこない私という存在のおかげであの場所にローズマリー達がとどまり、レイとヒュウガに遭遇したらしい。
そしてお勧めのアトラクションがこの近くにあったのかもしれない。
けれどこの程度は予定の範囲では大丈夫に思える。
結局はこの二人も足止めする事になるのだろうから。
なので当たり障りのない会話をレイとヒュウガちゃんとしていた私は、油断していたのだ。
そこで、珍しくユーマの怒声が響いた。
「何時だってそうだ! 兄さんは俺が出来ない事を全部やって、俺が欲しい物全部取りあげようとするんだ!」
「いや、私はローズマリーを褒めただけで……」
「どうせ俺は兄貴にはかなわないさ!」
そう、経緯が何となく分かるような言葉をユーマが叫んで走り出す。
あらかじめ予定されていた事象とはいえ、早すぎると私は思いながらも、追いかけるカモミール達の一番最後に私は駆け出したのだった。