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ユーマルートかどうか

 自習時間が終わったころに屋上から食堂にやってきた私。

 お昼休みなのだがまだ早いので人はまばらだ。

 今日はどの定食にしようかしらとメニューを見ていると、普通のモブらしい男子生徒が現れる。

 

 なので私はにっこりとほほ笑むと、顔を赤くしてぽーっとなってしまう。

 やはり私は美しい! そう再認識したのは良いとして。


「……やっぱりモブは、皆同じように見える見た目よね」


 現実世界ならばもっと差異があり、他と同じようにしているといってもここまで量産型ではない。

 それとも私の目がおかしいのかしらと私は思う。

 ミントにとって主要人物以外が、全部モブなのか。


「一回聞いておいた方が良かったわね。……どうせ後でサトル君が顔写真付きの一覧を持ってくるからその時に聞けばいいわね。でもやっぱりモブモブ君(仮)は怪しいわね」


 そう思いながら周りを見回すが、極上の獲物である彼は見つからない。

 それにしょぼんとしながら私は、“筋肉モリモリ焼肉定食”+濃厚プリンジュースのセットになったA定食を選ぶ。

 先に食事を持って席だけとっておこうと思ったのだ。と、


「おや? 今日は随分と早いんだな」

「あら、ミナト。今日は一人なの?」


 現れた腹黒生徒会長ミナトに私は疑問を浮かべる。

 良く食事は生徒会の人達と彼は一緒なのだ。

 そこで何故かミナトは嬉しそうに、


「……名前で呼んでくれたな」

「あ、しまった。腹黒生徒会長様でしたわね」

「別に言い直さなくていい。むしろ恋人のように名前を呼んで貰えると嬉しいかな?」

「……本気?」

「……そこまで引かなくてもいいじゃないか。こう見えて私は女子の人気が高いんだぞ?」


 そういえばそんな設定だったなこいつと思いながら私は、ふと気になった事を聞いてみる。


「ちなみに女子はどの子が好みなの?」

「そうだね、君かな」

「冗談ではなく、私以外のどの子が良いの?」

「そうだね……あの子かな。髪の色も艶やかだし明るくて元気が良くて……」

「……そうなの」


 ミナトの発言を聞きながら私は、彼の指さす女子生徒を見る。

 何処からどう見ても他の少女と同じでモブにしか見えない。

 そこで私は声をかけられた。


「ミントさん、今日は先に来ていたんですね」

「ええ、まあ。ローズマリー、何だか嬉しそうね」

「はい、あ、ミントさんも来ませんか? 今週の土曜日に皆で遊園地に行くんです。さっき、出会ったサトル先輩も誘ったんです。ミントさんと仲が良いので。ミナト先輩もいかがですか?」


 それにちらりとユーマを見てからミナトも行こうかなと言いだしたのは良いとして。

 そこでカモミールが、


「……あのローズマリーが貴方を誘いたいなんて言いだすなんてね」

「努力のたまものですわ」

「……私はまだ信用していないわよ?」

「ハードルは壊してこなごなにするのが楽しいんですよ?」

「……私はローズマリー、あの子が幸せならそれでいいの」

「……何だかカモミールはローズマリーのお姉さんみたいですね」


 何となく口にした私の言葉。

 けれどそこでカモミールは戸惑ったような表情になって、けれどそこでローズマリーが、


「カモミールは、私の親友なの! だから私を心配してくれるんです」

「そ、そうよ、変な事を言わないで」


 けれど私はカモミールの様子がおかしいと気付く。

 何か違和感がある、そう私が思っていると、


「ミントさんも、私の世界にずっといてくれたらいいのに」


 ローズマリーが嬉しそうに私にそう告げた。

 それだけのはずなのに、私の頭がくらくらして世界が歪む。

 ふらるとして椅子から落ちてしまいそうになった私をミナトが支えた。


「大丈夫か?」

「ええ、ちょっと目まいが。ありがとうミナト。そういえローズマリー、日曜日の予定を聞いていいかしら」


 何処に行くかで、ユーマルートかどうか分かるはずだ。

 そしてそれ専用に他のフラグが立たないように私は邪魔しないといけないのだが、そこでローズマリーは目を瞬かせてから、


「いえ、日曜日は私、ずっと家にいる事にしていますから」


 そうローズマリーは、不思議そうに首をかしげながら答えたのだった。


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