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そっちの方が驚くだろう!

 さてさて、それから女の子同士のお話あいがありまして。

 カモミールが私に言いました。


「相変わらず男に媚びるのが上手いのね」

「今の光景の何処がそう見えるのよ。どこからどう見ても珍獣を見に来た感じじゃない」

「……自覚があるようならいいけれど、あんな風なので私がモテるなんておもわないようにしなさいよ?」

「いえ、私は美少女なのでモテるのは当然でしょう。微笑むだけで男は落ちるし」


 それは基本スペックなので私にはどうしようもない。

 カモミールは嫌そうな顔をしているが、その辺は全て置いておく事にして、私は自身の思いついた目的を達成させるために私はカモミールに話しかける。


「カモミール、貴方、逆ハーレムを作る気はない?」

「……は?」


 変な声を上げるカモミールの手を私は引っ張っていって、ローズマリーから少し離れた場所に連れて行く。

 見るとローズマリーはユーマと楽しそうに何かを話している。

 その様子を見ながら、私は見えない位置で彼らを指さし、


「カモミール、貴方、あの二人をくっつけるための手伝いをする気はない?」

「何を企んでいるの?」

「さっき私目当て出来た全員が、今後あのローズマリーに好意を抱く可能性があるの」


 それを聞いたカモミールが私を半眼で見た。


「……何を言っているのか分からないわ」

「分かってくれなくて私は悲しいわ。というわけで貴方には逆ハーレムを作って欲しいの」


 カモミールが私を可愛そうな子を見るような目で見た。

 そして深々と嘆息し、


「ミント、貴方疲れているのよ」

「いえいえ、それが一番手っ取り早くて楽なのではないかと。さっきの様子を見ていて思いました」

「……却下」

「残念ですわ」


 微笑む私にカモミールが朝から疲れたような溜息をついたのだった。







 そして私はローズマリーと話しながら、どことなーくデレっとしているユーマの首に腕をかけて、耳元で囁いた。


「ユーマ、ローズマリーが今日は借りた本を朝、図書室に返しに行くからそれを止めなさい」

「……了解しました」


 頷くユーマに私は、まずは鞄を私の教室において図書室に向かう。

 そして図書室に来て、ローズマリーを探している私は、そこで目的の人物であるヒュウガとそして……顔を青くしている。

 何を話しているんだろうと私はこっそり近づくと、なんちゃって不良のレイ君の悲鳴のような声を聞いた。


「な、何でお前がここに!」

「僕もびっくりしたよ、君がここにいるなんて」

「びっくりしたのは俺の方だ。だって、お前……」

「僕もまさかあのオタクで地味なレイ君がこんな場所で不良の頂点に立っているなんて思わなかったな」

「それは驚くと思うが、でも、女が男の恰好をして生徒になっているなんてそっちの方が驚くだろう!」


 叫ぶレイの声に私はえっと思った。

 待て。

 今の話を聞く限り、病弱美少年なヒュウガ君は……“女”?。

 乙女ゲームの闇は深い、そう私は思いつつこっそり様子を伺っていると、


「僕、ミントさんみたいになりたいと思って。噂と違って強くて優しい女性のようだから」

「……多分、気のせいだと思う」

「だから周りに群がる男を、もう少し排除したいんだよね。だから……あのローズマリーという女に男達の視線を釘づけにさせたいんだ」


 そう笑うヒュウガ君はいつもと違う暗黒面が見えて……とっさに私は本棚の間から身を乗り出し、


「話は聞かせてもらったわ!」


 そう叫んだのだった。


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