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この恋焦がれるような求める気持ち

 朝になったのでまだ寝起きでパジャマ姿のミント2号に私は会いに行く。

 そういえば両親は娘が二つに分裂して何か言っていなかったか私が聞いてみると、


「特に気にしていないようでした」

「そうなの? でも私もあった事はないわね」


 存在は確認するが出てこない“親”。

 乙女ゲームしかり、ラノベしかり、良くあることだ。

 そこからもこの世界はゲームのようだと私は思う。


 なのに目の前にいるミント2号は本物のようだけれど……現実なのか、ゲームなのか。

 その鍵を握っている人物は、私は未だに捕縛できずにいる。

 それに心の中で嘆息しつつ私はミント2号に、


「それじゃあ、お昼辺りに一回打ち合わせをしましょう。食後に屋上で良いかしら」

「はい、今日は屋上でサトルと一緒に今日は手作り弁当を食べるんです!」

「でも授業は良いのかしら……問題集、そういえば全部といてあったわね」

「ええ、授業が簡単すぎて暇なので解いていたら全て解き終わってしまって」

「そういえば『この程度の問題でこの私が倒せるものかぁああ』みたいな事が書いてあったような……」

「か、書いていません! 『簡単すぎますわ』って書いただけです!」

「そうだったかしら、あら、もうこんな時間。それでは先に行きますね」

「はーい、お昼休みによろしく」


 そう言って私は学校に向かう。

 そして私は出会ったのだ。

 あの後姿!


 この恋焦がれるような求める気持ち。

 もう絶対に放したくないというこの強い思い。

 捕らえて絶対にその全てを自分のものにしてやるという獰猛な心が私を襲う。


 どうしても諦めきれないのだから、仕方がない。

 だから私は、極上の笑顔を浮かべ駆け出した。

 校門の目の前にいる彼のために!


「見つけたはモブモブ君(仮)! こんな場所で出会えるなんて運命だわ!」

「うぎゃああああ、でたぁああああ」

「酷いわ、そんな化け物か何かと出会ったみたいな悲鳴を上げて。私はこんなにも貴方に会いたかったのに、私、悲しい」

「いやぁあああっ」

「ちっ、美少女が悲しげな顔をしていてもあのモブモブ君(仮)は相手にしないなんて、いい度胸をしているわね」


 そう思いながら私は周りを見回す。

 周りのモブ達は私の美貌でイチコロだった。

 となるとあのモブは、やはり怪しい。

 それこそ主要人物と同じような存在と言えるのかもしれない。

 そう考えながら私はあのモブモブ君(仮)を追いかけて行ったのだった。






 上手い事、私は追い詰めたように思う。


「ひ、ひいいっ、し、しまった、空き教室に……」

「本当にこんな場所に逃げ込んでくれるなんて好都合だわ」


 そう告げて私は教室の鍵を閉めた。

 これでもう彼は逃げられない。

 縄を使うまでもなかったと私は笑うと、そこでモブモブ君(仮)が、


「な、何をする気なんですか」

「色々秘密を話してもらおうかと思って」

「た、助け……」

「ふふ、泣いても叫んでも誰も来ないわよ。さあ、洗い浚い知っている情報を全てはいてもらいましょうか」

「う、うぐ……」

「瞬間移動して逃げる? だったらもうとっくに使って逃げているわよね。やっぱり貴方使えない理由があるみたいね。ふふ、これでチャックメイトね」


 そう私が暗黒微笑を浮かべたその時だった。


「ミント―、ミントー、どこだぁー」 


 ユーマが私を呼んでいる。

 ローズマリー関係で何かあったのかもしれないが、まさかここまで追い詰めた丁度いいタイミングでと思っていた所で……少し目を離した隙に、気付けば私の目の前にモブモブ君(仮)がいない。

 慌てて出口の戸を見やれば、丁度彼が鍵を開ける所だった。


「逃がすかぁあああ!」


 私は慌てて追いかけるも、紙一重で私は彼をまたも取り逃がしてしまったのだった。

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