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誰の話をしているのですか?

 ミントの意外な側面に私が驚きを覚えつつ、私は問いかける。


「それで、どうして私がい世界から来たと思ったの?」

「いえ、二つに分裂してから、もう一人の私がいきなり襲いかかってきたら怖いなと思って、隠れて様子を見ていました。そうしたらまだ私このゲームをクリアしていないのにって叫んで倒れたので……これは、この世界というゲームに転生してきた転生者だと!」

「お、おう……」

「なのでどんな行動をとるのか見ていれば小説みたいな展開が見れるかもしれないし、また違った自分になれるかと思ったんです。その行動を真似れば私の立場だって変わりますし」


 どうやらこのミント2号も色々と考えていたり、自分を変えようとはしているようだった。

 そしてこうやって話していると攻略対象やローズマリー、カモミール、そして……ミント2号。

 誰もが自身で考え喜び、苦悩し、まるで本当の人間を相手にしているようだ。


 私の知っている乙女ゲームのようだけれど、これは本当は異世界なんじゃないだろうかとふと不安に思う。

 その一方で時間が進んだりと、色々とゲームらしさが出ている。 

 これで本当に転生していたらどうしようかと思って、そのために今は環境を整えようとしているのだと私は思いだす。


 そう、これは私が全て人生イージーモードで過ごすため。

 素敵な彼氏ときゃっきゃするために頑張るのだ。

 

「間違ってもあの腹黒生徒会長のミナトときゃきゃするためじゃないんだから!」

「え? 貴方はあのミナトが好きなんですか?」


 ミント2号に悪気はないと思う。

 けれど私は物凄く嫌そうな顔をして、


「そんなわけないじゃない。あんな皮肉屋で好き嫌いの多い男なんて御免だわ」

「そうなのですか? 何が嫌いなのですか?」

「あいつ魚が嫌いなのだそうよ。それで、昔……貴方が卵焼きを作って、それが美味しかったから私に作れですって。仕方がないから作ったけれど」


 そう私がぶつぶつと愚痴を言うように答えると、更にミントは怪訝な顔をして私を見た。

 そして少し言いにくそうに、


「私、ミナトに卵焼きなんて作った事がないです。それにミナトはお魚大好きだったはず……。誰の話をしているのですか?」


 そう私に言ったのだった。







 結局それには答えが出ず、代わりにミント2号の秘蔵の部屋に連れてきてもらいました。

 漫画やラノベ、ゲームのそろった快適な部屋。

 そして奥の方にこっそり隠された官能小説……。


 見つけた途端に、ミント2号が、はわわわわ、と言っていたが、さりげなく一冊拝借した。

 そのあたりの事は置いておいて、私は自身の部屋に戻り攻略本を眺める。

 明日もフラグが目白押しなので、効率良くそれをこなしていかなければならない。

 ついでにどういった時間差で登校をするか決めておいたから、それから……そしてサトルとミント2号の仲もとり持たないといけない。


「そして、モブモブ君(仮)の捕縛。……とりあえず合間を縫うように彼を見かけたなら即座にこの縄で捕まえるか後は……何処にも逃げられない場所に追い詰めて、じっくり教え込むように教育しなおしてあげましょう。私の言う事をよく聞くように、ね」


 獰猛な猛禽類のような感情を覚えながら私は、ぺろりと舌舐めずりをする。

 きっと彼がこの世界で一番の鍵なのだ。

 確実に彼とは建設的なお話合いがしたいのだ。

 そう思っている内に、再び夕暮れの空が青空へと変化したのだった。

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