表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

37/84

何か悪だくみをしていたようだ

 アイスクリームショップや、アクセサリーショップ。

 ついでに近場の駅を確認する。

 この駅と路線を見て、現実世界とこれは同じね、ここは架空の駅だけれど、変な場所に駅が追加されてる……電車に乗って三十秒で次の駅って、採算性が取れるのだろうかとどうでもいい突っ込みを入れつつ、駅に置かれていた時刻表を一枚貰って行く。


 そして他にも幾つか回って、喫茶店へ。

 今日は暑いから、クリームソーダでも頼もうかなと私は思いつつ、さっきのアイスクリームやでやっぱりアイスを食べておくべきだった、今日は小さいけれど幾つも違う味が楽しめる日だったしと後悔しかけた。

 そこで、私は見知った相手に気付く。


「腹黒生徒会長に、ヒュウガ君。二人揃ってどうしたの?」

「……腹黒生徒会長ではなく、ご主人様でも呼ぶかのようにミナト様と呼んでくれないか?」

「さりげなくセクハラしているんじゃないわよ。それで、今日は何でここに?」


 そうミナトを見る私。

 彼は彼の前に置かれている、本場には存在しないナポリタンを見ながら聞くと、


「たまたま本屋に用があって立ち寄ったついでにこちらに来たのだよ。ちなみにミント達が何か悪だくみをしていたようだが、空気を読んで声をかけなかった」

「ここで言っている時点で空気は読んでいないでしょう! ああもう、ヒュウガ君、隣いいかしら」

「あ、はい」


 そう、チョコレートパフェを食べているヒュウガに聞くと、顔を赤らめて頷く。

 うーん、可愛いなと私が思っていると、そこで何故かむっとしたようなミナトが、


「先に何か頼んだらどうだ?」

「そうね、じゃあウェイトレスさん、クリームソーダ一つ。代金は別で」


 そう私は傍にいたウエイトレスに頼む。

 そして私はミナトに視線を戻し、


「今日は二人してどうしたのかしら」


 その問いかけに答えたのはヒュウガ君だった。


「あ、僕は花を買いに来たのですが、久しぶりにここのチョコレートパフェが食べたくなっちゃって。ここ、美味しいんですよ?」

「そうなんだ、私もパフェにすれば良かったかしら。でも、どうしてミナトが一緒なの?」


 一緒に花束を買いに来たわけはないだろうと私は思っていると、


「ヒュウガ君は病弱だから、一度話を聞きたくてね。私も生徒会長だから」

「ふーん、意外にもまともに仕事をしているのね

「そうだな。君のように何の役もなく暇なものとは違うのでね」

「暇ってわけでも無くてよ? これでも私、色々忙しいの。そう見せないだけで」

「そうか、それでミントは何をしにここへ?」

「うーん、縄を買いに」


 何故か沈黙する二人。

 別に変な事は言っていないはずなのだが、そこでミナトが恐る恐るといったように、


「何に使う気か、用途を聞いていいかね?」

「(モブモブ君(仮)という名の)兎狩り。捕まえてどう料理してやろうかと思うと喉がなるわ。ふふ」

「気の毒に。兎なる人物には同情を禁じ得ない」

「そう? とても美味しそうな兎なのに。深く考えない方が良いわよ?」


 そう私は軽口を叩くと、ミナトは疲れたように、


「最近特に思うのだが、こう、どうしてサバサバ系女子みたいになっているんだ?」

「何処がサバサバよ。私みたいなおしとやかな淑女である繊細な乙女は他にいないわよ」

「……本気か」

「本気よ。何を言っているんだか」


 失礼ねと私は思いながら、丁度来たクリームソーダに目を輝かせる。

 そこでミナトはまた別の質問をする。


「お化けがいたらどうする?」

「捕まえて見せものにする。稼いだお金は、諸費用を除いて半分に料金を分けるけれど」

「……幽霊にお金が必要なのか」

「生きている人間を動かすにはお金が必要よ? 好きな人に会いに行くにしても」

「あの話は男が気の毒だよな。ヤンデレ幽霊は怖い」

「あら、貴方にも怖い物があるの? 腹黒生徒会長様。初耳だわ」

「そうだな、君かな?」

「冗談でしょう? 本当に怖かったら、こんな風に一緒に食事はしていませんものね?」

「そうだな、くくく」

「ふふふ」


 お互い低く笑いあって、ヒュウガ君を怖がらせたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ