朝の紅茶
昨日の夜、なんやかんやと出て行こうとするサニエルをエバが無言の圧力でとどめ。
結局美味しい夕食を三人で頂いた。
エバの作るご飯には全て自家製の野菜や副産物などを使っているらしく、美味しかった。
サニエルの作る野菜もとても美味しいと素直に喜ぶと、顔を真っ赤にしながら「黙れ」と言われ、エバが笑った。
そして次の日の朝。
少し懐かしい夢を見ていた様な気がする。
窓の外はまだ薄暗い様だが、時計は六時を指していた。
サニエルとの約束は七時なので、少し早いが布団から出た。
顔を洗って髪を整えて、キャリーケースから着替えを出して着替え終わると。
ふと扉の外に気配を感じた。
朝方はまだ少し冷え込むので薄手のカーディガンを羽織って恐る恐る扉を開くと、驚いた表情で固まっているサニエルと目が合った。
「…………おはようございますサニエルさん。」
「よ、よう…早いな、なんだ、どうした。」
どうしたはこちらのセリフです、と突っ込むとまたむくれるんだろうなと思い立って、サニエルに取り敢えず中に入るよう促した。
「はあっ!?いい!入りたくないっ!!」
「子供みたいな事言わないで下さいサニエルさん。
まだ朝方は少し冷えますから、どうぞ暖かい物でもお出ししますから飲んで行って下さい。」
「要らない!!飲まん!!」
頑なな態度は性格なのか、サニエルはフィリアが腕を掴もうとするとするりと抜けた。
「…む。」
フィリアはあまりの往生際の悪さに、頬を膨らませた。
「サニエルさん、酷いです。」
「あ…え…っ?」
いきなりの方向転換に付いて行けなかったのか、サニエルはフィリアの方を振り返った。
そこには頬をリスの様に膨らませて拗ねまくっているフィリアが居た。
薄い橙色のワンピースをぎゅっと握って、上目遣いにサニエルを見上げた。
「せっかく来てくれたのに……。」
「別にお前の為じゃないっ!俺は牧場がどんなもんか見に来ただけで…」
「私昨日来たばっかりだから、この辺りの事知りませんし、知り合いもそう多く居ません。」
じわりと潤んだ瞳に、サニエルはうっと言葉に詰まる。
「それに…せっかくサニエルさんと仲良くなれるかなって思ったのに…。」
ぽろりと流れた涙に、サニエルは罪悪感からか心臓がきゅうと鳴った。
そして盛大にため息をつくと、フィリアの頭に手を置いて「分かったから…」と呟く。
「…分かった、茶をくれ。寒くて死んじまいそうだ。」
「本当ですかっ!」
瞬間、さっきの涙がウソのように満開の笑顔でフィリアは顔をあげた。
それに目線を合わせずウンウン頷いたサニエルは「…お前、ずりぃよ…。」と諦めの言葉を口にした。
首を傾げたフィリアは嬉しそうに微笑むだけだったので、やはり諦めて促されるまま中に入った。
中の間取りは事前に知っていたが、確かに狭いなと心の中で呟く。
奥の簡易のキッチンへと消えたフィリアにもう一度諦めのため息を零し、部屋全体を見渡した。
簡単な木製の棚、クローゼット、ベッド、そしてテーブル、イス。
必要最低限の物しか揃っていないのは前の牧場主の残したものであるから仕方ないと言えば仕方ないのだが…。
「…ドーブさんに、一応進言しとくか。」
「何をですか?」
「ああ…いや、なんでも無い。」
独り言を聞かれたかとフィリアを見ると、ティーポットを傾けていたので多分聞こえていないだろうと当たりをつける。
ふわりと香って来た良い匂いに、サニエルの頬は知らず笑みの形に変わった。
「アールグレイです。ミルクとお砂糖はどうしましょうか。」
「どっちもくれ。」
「はい。」
笑顔で応じたフィリアにため息をついて、砂糖とミルクを入れて一口飲む。
「…………美味いな。」
「本当ですかっ?」
嬉しそうに、もはや尻尾があったら振ってたに違いないフィリアを見て、サニエルはこくんと頷いた。
「嬉しいです!私、紅茶を淹れるのだけは得意なんです!」
はしゃぐフィリアを見て「そうなのか」と答えると「そうなのです」と嬉しそうに言った。
「私のお父さんが、大好きだったから……。」
「………そうか。」
少しの沈黙の後、紅茶を飲み干したサニエルは立ち上がり、フィリアに言った。
「俺がみっちり教え込んでやる。…茶葉も雑貨屋で種も売ってるから。
自分で育てた奴で淹れてみろ。」
ポカンとするフィリアに「やるのかやらんのかどっちだ!!」と叫ぶと「もちろんやります!!」と言って立ち上がった。
「…お願いします、サニエルさんっ!」
「……おう。」
ぶっきらぼうに言い放ち、サニエルはフィリアが身支度を整えるのを待ってやりながら心の中で呟いた。
…まあ、悪い奴では無い。
心で呟いた己の声に頷いて、後ろについて来るフィリアを見て赤面した。
Ruru.echika.ですよ~笑
溜めてた分ここで吐き出しときましょう。
バイトが無かったらずっと書いていたいな…
…はい、弱音終了。
次回もお楽しみに☆