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坂の上の牧場

長い坂を上り、大きな広い場所に出た。

目の前に広がっているのは大小様々な石や岩、大木や雑草等。

それを見て茫然としていると、ヒュディベルさんがクスクス笑いながら一つの小さな家を指差した。


「あれが、フィリアちゃんのお家よ。」


微笑んだエバさんに、私は目の前に広がるこの広い土地を見て呟いた。


「…もしかして、ここ全部……?」


「ええ、そうよ。この辺り一帯は全てあなたの物よ。」


その答えに唖然とした。

私は見渡す限りの荒れ果てた土地に、心の中で燻っているワクワク感をどう言う風に吐き出そうかと考えた。


「…嬉しい。」


「え?」


私の呟きを拾った三人は、同時に声をあげた。


「すごく、楽しみです!あっ、でもまず土地を開拓して行かなくちゃですよね。

ああ…早く色々教えてもらいたいですっ!!」


「おーおー。なんかやる気だなぁ、フィリアちゃん。」


「早くフィリアさんの作った野菜を食べてみたいよ!」


「ふふふ。でも今日は疲れたでしょう?

研修は明日からだから、今日はゆっくり休んでね。」


言うと、目の前に現れた緑色の屋根のお家の扉を開いた。


中に入ると、右端にベッド。

真ん中にテーブル。そしてその奥にお風呂とトイレがある。

振り返ると、玄関のすぐ隣にある棚にキャリーケースとリュックサックを置いて、ヒュディベルさん達が笑ってた。


「明日には建築屋のドーブさんが来てくれると思うから、もう少し広い部屋になると思うわよ。」


「そんな、全然っ!!私一人ですし、十分ですっ!!」


ぶんぶん手を振ると、エバさんはにっこり笑って「明日をお楽しみにね」と意味あり気に笑った。


「それじゃ、俺達はそろそろ戻るわ。」


「フィリアさん、また明日ね!」


笑顔で立ち去る二人にお礼を言って、頭を下げた。

気が付くと、コツコツと秒針の音がしたので、そちらに顔を向けると壁に時計が掛かっていた。

どうやらそれなりに歩いていたようで、もう四時だった。


「今日は私の家でご馳走するわ!」


との言葉を聞き、フィリアは礼を言うとエバの先導により坂を下りた。


**********


先程四人で下りた坂をエバと共に談笑しながら下って行く。

さっきはヒュディベルとアルトの話しを聞きながらだったので周りを見ている暇が無かったが、あれこれとエバが説明をしてくれるので色々な知識を吸収しながら笑顔でエバの家まで来た。


フィリアの家から徒歩二十分程下ると、左側の道に青い屋根の家が現れた。

辺りには二つほど小さな家があるが、住人が帰って来て居ないのか部屋の明かりは付いていなかった。


中に入ると、先客が居た様で…フィリアは目の前の人物の眼光の鋭さに怯え固まった。


「…エバさん、こいつ、誰?」


目付きはそのまま、頑なな声の主にエバはにっこりと笑い掛けながら「サニエル、この人は今日から北の牧場を管理してくれるフィリアさん。ワカバタウンの新しい住人よ。」と言ってさりげなくフィリアとサニエルの間に入る。


「…ふーん。で、なんでこの人が家に来るの?」


「私が夕食に誘ったの。初めて来たばかりで知らない事ばかりでしょうし、あなたも明日からフィリアさんの研修があるでしょう?」


「明日ねぇ」


ふんっと腕を組みながら、舐めるようにフィリアを見る。

赤い瞳はギラギラと警戒の色が強く、まるで怯える野生動物の様だ。

フィリアは警戒を解いて、一歩、サニエルへと踏み出すと。

すっと右手を差し出した。


「…初めまして、サニエルさん。

私は今日からワカバタウンでお世話になります、フィリアです。」


「…………なんのつもり。」


ギッと鋭さを増した視線に怯む事も無く、笑顔でフィリアはもう一歩踏み出した。


「私、サニエルさんにそっくりな人を知ってます。

私の居た街に居た人なんですけど、初めて会った時の反応がそっくりです。」


「は?」


「私の事、嫌いですか?」


「…はぁ?」


いきなり何を言うんだと、組んでいた腕を解いてフィリアの方へと向いた。


「嫌いじゃないでしょう?だって、私の事、サニエルさんは何も知らないはずですもの。」


「…………」


「私はこの街に来て良かったと思ってます。

もちろん。サニエルさんにも会えましたし。」


「ばっ、お前今お前がどれだけ恥ずかしい事言ってるか分かってるか!?」


カッと顔を真っ赤にしたサニエルは、身を乗り出してフィリアに近付いた。


「…ふふっ、知りません。」


ふわりと微笑んだフィリアに、サニエルはハッとした様に目を見張る。


「私、別に恥ずかしい事は言ってませんよ?

ただ警戒されて仲良くなれないより、仲良くなりたいです。

それに…私、サニエルさんの事沢山知りたいです。」


放り出されていた手を握ると、真っ赤になった顔で振り払われてしまった。


「勝手にしろ!!俺はお前なんて全然どうでも良いし、全く…どうだっていいんだからなっ!!」


「サニエルさん?」


「おやおや。」


きょとんと首を傾げるフィリアと顔を真っ赤にして出て行くサニエルを見て、エバはにっこりと微笑んだ。

Ruru.echika.です!!

第二話です~vV


脳内牧場ではもう大体十話くらい進んでます笑

ではでは、次回もお楽しみに!!

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