私は空気
私は空気。
「おはよう」と挨拶しても。
聞こえていないらしく、誰も返事はしてくれない。
廊下ですれ違ってぶつかられても。
見えていないらしく、誰も頭は下げてくれない。
教室には人が沢山居る。人で溢れている。
けれど、周りは人でも私は独り。
話しかけても蹴られてもぶつかっても、
たとえ目の前にいたとしても、
みんながみんな、みんな無視。
見えない、聞こえない、分からない、気づかない。
私は空気なんだ。
すぐ傍に居ても、
息の当たる距離に居ても、
二十四時間当たり前に居ても。
空気だから誰にも知られなんだ。
みんなが私を蔑にするから、私は黙って消えた。
この子も、その子も、あの子も、どの子も、みんなみんなみんなの前から消えた。
するとどうだろう。
みんなは急に顔を青くして、喉を掻き毟って、最後は凄い顔して動かなくなった。
私は空気。
居なくちゃ誰も生きられない。