第2話:一歩
「A HAPPY NEW YEAR!!」
テレビの中の芸人たちが、目が痛くなるような着物をきて大声で叫んでいる。
結局、カナは来ないで新年を迎えてしまった僕。自棄酒で、ビールを何本も飲んでしまい頭がだいぶクラクラするのだった。
目の前には、ケンカの原因になったあの小箱がある。
リボンを解いて、小さななフタをあけた。
小さなダイヤのついた結婚指輪。ちゃんと、カナのサイズに合わせてある。
とうとう渡せなかった。もう、終わりだろう僕ら。
―ピンポーン
玄関のチャイムがなり、覗き窓も見ないでドアをあけた。
「はいはいだれですかーこんな夜遅くに」
「迷惑だった?」
またしても青ざめた僕。カナが頬を赤くして立っていた。寒かったのだろう。ずいぶんココでまったのだろう。酔いが、醒める。
「…入れよ」
ぶっきらぼうに言ったものの、内心ドキドキして心臓が飛び出そうになった。少し小走りになってテーブルの上にあった例の小箱をスウェットのポケットに押し込む。
「お酒、飲みすぎじゃない」
「新年だし」
カナはお気に入りのコートを壁にかけながら苦笑いをした。
しばしの沈黙。
もう、僕らは何をするべきなのか、わかっているはず、はずなのに。あと一歩が踏み出せない。
「「あのさ―…」」
お互いの声が重なって、さらに気まずくなってしまった。
先に逃げ出すのは僕。
「俺、たばこ買ってくるからまってて」
カナの返事を待たずに、そのまま飛び出した。




