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私が行く・異世界冒険譚  作者: ちょめ介
蒔かれた種はどんな木に育つのか
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第七十二話・髪はゆっくり梳かしましょう

はい、第七十二話投稿いたしました。


この頃は夕方の暑さも和らぎつつあり、過ごし易くなりました。


ちなみに、自分の好きな季節は10月~3月です


朝起きる時の毛布のヌクヌク感が最高ですね。


…はい、それだけです。


そりゃ、第七十二話始まり始まり。

道中は特筆することもなく、平和的に進むことが出来ました。


【魔獣】が出てきたり、盗賊が出てきたりしてきても、いたって平和的に排除してきました。


具体的には【レーダー】の索敵範囲内に入ったらクロさんに【魔法】を使ってもらい、遠距離から内密に処理をしました。


まあ、子どもたちに見せないようにしていたので、気にすることはないでしょう。


そして問題もなく【アンヴィーラ】を出発してから一週間程が経ちました。


「ウォン!」


「ん…なんでしょう、クロさん。」


クロさんの鳴き声で体を起こすと、遠方に大きな城が見えます。


「ああ、着いたんですね。夜中も牽いてくれてありがとうございます。」


「ウォン!ワンワン!」


『いえ、気にしないでください姐御。自分も姐御たちのお役にたてて嬉しいです!』とでも言うかのように、尻尾を振りながら軽やかに歩を進めています。


「【アプライド】に入ったら宿をとりますから、クロさんは休んでいてくださいね。私たちはお城に行ってきます。」


そうやってクロさんと話している内に【アプライド】への入り口の門に到着しました。


「ではクロさん、検疫みたいなのがありますが危害はありません。少し大人しくしていてくださいね。」


「ウォン!」


『分かりました姐御!』と言っているように、クロさんはこちらを振り向いて元気よく吠え、門中へ歩みを進めました。


さて、すんなりと済めばいいのですが。




閑話休題




雑多な音が辺りに響き、景色が後ろに流れて行きます。


そこには市場が建ち並び、多くの人々が活気に溢れています。


しかし、そこには以前のような覇気はなく、どことなくドンヨリとした雰囲気が漂っていますね。


「いや、何日もあんな狭苦しい小屋に押し込められちゃって、ホントにむさ苦しかったよ。一か月は覚悟してたんだけどね、早く来てくれて助かったね。」


「あんな状況でよく生きていましたね。まあ、あの【魔法陣】を使ったのですから当然ですが。」


貰った招待状を門番の人に渡すと、それを待っていたかのように建物の中に入り、一人の人を連れてきました。


「ホントだよ。あの【魔法陣】に【魔力】を流したらとんでもなく痛くてさ、あのまま死ぬかと思ったよ。」


「ええ、体機能を完全に戻す。そういう【魔法陣】ですから。まあ、副作用でとても痛いですが、納得したのですからいいでしょう?透明さん。」


建物から出てきたのは、先日お城の廊下で透明のまま死にかけていた人でした。


それと、王様から言い含められていたようで、道案内も兼ねて私たちの馬車に同乗すると言ってきました。


それに【魔獣】が馬車を牽いてるというのに、特になにも聞かれずに通ることもできました。


「まあね。あんな所で死ぬより、生きていた方がまだマシだからね。ところでさ、あの【魔法陣】を使ったら消えちゃったんだけどさ、どうして?それに透明さんって…」


「当然ですよ。自己消滅機能も付与してありますから。あんな【魔法陣】を下手に複製されても面倒です。」


あの時渡した【魔法陣】は、体機能の再生と【魔力】の強制回復の二つ。


どちらも、この世界に現存していないハズの、昔々の【文明】に作られた【魔法陣】の一部です。


まあ、あの【魔法陣】の複製一つで国家の相手が奪取に来てもおかしくない程度には貴重なものですね。


しかし、複製された【魔法陣】の性能なんて、その出来次第で千差万別です。


線一本が少し歪んだだけで、いつ爆発するともしれない代物が出来上がりますから。


そんな危険物体なんて、何を言われようとも流通させる気は更々ありません。


まあ、流通させたところで気にもしませんが。


「でも、あの【魔法陣】があればたくさんの人が助かるかもよ?」


「興味ありませんよ。それに、その他大勢が何人死のうが私には関係のないことです。」


「…それ、ホントに言ってるのか?」


「ええ、もちろん。でも【家族】は除きますよ?【家族】が傷ついたのなら、私は本気で助けます。その為には手間も惜しみませんし、なんでもしますよ。」


「ああ、後ろにいる子たちのことかい?」


そう言って、透明さんは後ろの方で眠っているリリウムに目を向けました。


「先に言っておきますが、手を出したら殺しますよ?こちらとしてはある意味敵地に乗り込んでの交渉です。まあ、もしもの話ですがね。」


「いや、そんなことはしないよ。命令されてないし、指示も受けていないから。」


「なるほど。」


流石は、王様から犬呼ばわりされているだけありますね。


主人には忠実のようです。


「それで、結局何をしろと言われたんです?ただ道案内をしろ、だけでは不十分ですよ?」


「んー…いや、特に何も。君の案内をしろって言われただけだよ。」


「ふぅん、まあいいでしょう。それで、もう到着しましたよ。」


少し先には巨大な穴が空いた門が見え、さらにその先にはあちこちが崩れたお城が見えます。


「あ、ホントだ。それじゃ先に行ってるよ。その招待状を見せれば入れるはずだから、よろしくね。」


そう言って、スゥッと透明になってしまいました。


こうなると【レーダー】以外で捉えられなくなるから厄介ですね。


まあ、眼鏡さえ治れば普通に視ることもできますから、どうでもいいでしょう。


【緑竜】と一緒に毛布でくるまって寝ているセルナに近づきます。


「セルナ、起きてください。着きましたよ。」


「ん…着いたんか…?」


セルナを揺さぶると、寝ぼけたような声をあげてボサボサの髪を掻きながら、ムクリと起きました。


「おはようございます。セルナ、髪がボサボサですよ。一応寝癖は直しましょうか。ほら、櫛です。」


「ふぁ…分かったよ。」


セルナが髪を梳かしながら御者台に座り、外の景色を眺め始めました。


「おお、なんか久しぶり…ってなんだあれ!」


リリウム達を起こそうとすると、セルナが奇声を発しました。


その大声のせいか、奥で横になっていたカンナが身を震わせました。


「変な声を出して、まだ寝ぼけているんですか?」


「…なあ、あれ、お前がやったのか?」


セルナが大穴が空いた門を指差しています。


「ええ、なにか問題でも?」


「なにか問題でも?じゃねえよ!問題しかねえよ!なんでいちいち壊してんだよ!お前飛べんだろ!?」


「玄関から入らないと失礼じゃないですか。まあ、封鎖されていたので無理矢理通りましたが。」


「その無理矢理が問題なんだよ!絶対弁償しろとか言われるよ!」


「どうせ【魔法】を使って造ったんでしょう。その時はセルナに頼みますよ。」


「無理だからな!?絶対無理だから!」


「はいはい、フリですね。分かっていますよ。」


「絶対分かってねえだろ!フリってなんだよ!」


セルナとそんな掛け合いをしていると、もはや間近に城門が迫ってきました。


さて、王様は元気ですかね。

はい、どうだったでしょうか。


「透明さん!殺されたんじゃ!?」


「残念だったなぁ…トリックだよ」


と、いうことでワン君と呼ばれていた【人間】は生きていました。


彼は彼で中々強いのですが、作中で披露されることはまずないでしょう。


主人公が無駄に強すぎるせいで、他が霞んでしまいます。


それと、彼は彼で特殊な【魔具】を持っていますね。


この【魔具】の製作主は、主人公がいつもかけている眼鏡の製作主と同じです。


さて、主人公の眼鏡の製作主は…?


感想、意見、その他諸々お待ちしています。

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