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私が行く・異世界冒険譚  作者: ちょめ介
蒔かれた種はどんな木に育つのか
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第六十六話・熱が出ると機嫌が悪くなります

はい、第六十六話投稿いたしました。


投稿が滞り、申し訳ありません。


最近は投稿日が遅れたりしてしまいます。


どうにも調子が上がらず、ダルダルと日々を過ごしてしまっています。


そういえば、もうすぐ一周年なんですよね。


長いようで短いものです…


されども、第六十六話始まり始まり…

数か月に一度だけ。


全身の至る所に走る激痛と、体が蕩けてしまいそうな程の高熱。


そして、動くことはおろか喋ることさえ億劫になる。


初めの頃は恐ろしかった。


動くこともできず、自分の体に何が起きているのかすらも分からない。


高熱と激痛で気絶するように眠りに陥り、必ず夢を見る。


母からも父からも心配されていたが、結局理由も分からずじまいだった。


病院に行ってもただの風邪だと診察され、薬を処方された。


しかし、効かない。


薬を呑んでも治るどころか、緩和することもない。


治るのに必要なのは、時間だけ。


それに、この症状が発生してからもう十年程度。


薬も効かず、治るまでの寝込むことを余儀なくされるこの症状。


しかし、もう慣れてしまった。


それに分かったこともある。


この症状が発生する前には、決まって寝付けなくなる。


数日間眠れない日が続き、眠りに入ると高熱が出る。


そして全身に激痛が走り、ベッドから出ることも難しくなる


しかし、もう習慣になってしまった。


数か月に一度だけ発症する、この病気ともいえない何か。


原因は不明…ではない。


一つだけ心当たりがある。


私の忘れたい、忘れられない、転機となった、とある出来事。


それは、いつも見るこの夢。


この夢は私の思い出。


私の、忘れることの出来ない、忘れたくないような、思い出…


そして 夢を見た。


すぐに夢だとわかる。


世界が反転していた。


床が天井で、天井が床で。


赤い液体が滴り落ちている。


場面が変わる。


部屋の中から屋外へと。


小さい女の子が母親と父親と手を繋いでいる。


輝かしい笑顔で、なにも知らずに。


母親が父親と睦まじく笑顔で喋り、女の子も笑顔で。


理想の家族、私の最も求めている理想像。


しかし、もう叶えられない、叶うことのない。


何も分からなかった時の、幸せな夢。


光景が一転する。


明るかった今までとは違い、一寸先も見えない真っ暗闇。


これは、今の私。


不幸で最悪で最低な、私の残酷な夢の中。


夢…しかし、これも現実。


全てを私が―した。


私が―してしまった。




閑話休題




初めに見えたのは、ぼやけた茶色だった。


額には氷嚢が乗せられ、僅かながらも頭がスッキリする。。


横たわっているベッドの傍には椅子が置かれ、セルナが腕を組み、目を瞑っています。


「セル…ナ…?」


私が声をかけると、セルナが目を開けこちらを睨んできました。


目の下には隈が目立ち、寝ていないのは明白です。


「やっと起きやがったか。調子はどうだ?」


「最高ですよ…誰かが傍に居てくれる…それだけで…」


かけられていた布団から手を出し、セルナの手を握ります。


こうやって傍にいてくれるだけで、とても心強いです。


「ん、まぁ、な。」


恥ずかしかったのか、セルナは頬を赤らめて俯いてしまいました。


首を捻って部屋を見渡しても、セルナ以外にはこの部屋には居ないようです。


「リリウムと…ルビアは…」


「はぁ…目が覚めた途端それかよ。あいつらは隣だ。それに、あの女の子もだろ?」


「ええ…そうですね…今は…」


「お前が倒れてもう二日だ。大変だったんだぜ?ルビアには胸倉掴まれるし、リリウムは離れないし、女の子は泣きそうだし。」


「迷惑を…かけましたね…」


「まったくだ。もう勘弁してくれよ。イーナの世話なんか二度とやりたくないね。」


憎まれ口を言いながらも、セルナが氷嚢に手を当て何かを呟くと、ヒンヤリとした冷たさが伝わってきました。


「ありがとうございます…」


「ま、これでも心配してたんだぜ?それに魘されてたみたいだけど…」


「少しだけ…昔の夢を…」


そう言うと、溜め息をつきながら、セルナが私の手を握り返してきました。


「あのさ、もうちょっとルビアたちを頼ったらどうだ?」


じっと私を見つめ、こう言葉を投げかけてしました。


「こんな倒れるまで、ボロボロになるまで頑張ってさ。お前にとっては【家族】が大事で、真っ先に護りたいのは分かる。」


私に語りかけるように…いえ、私を説得するように話しかけてきます。


「でもさ、ちょっとだけ…もうちょっとだけでも、ルビアたちを頼ってもいいんじゃねえのか?お前、このままじゃホントに死ぬぞ?」


「セルナに…なにが分かるんです…」


まるで分かりきった口で言うセルナに、心の中にはドロドロしたものが溜まっていきます。


「私には…【家族】しか居ない…私には…【家族】以外に何も…」


「それと、あの小っちゃい王女さんも来てたぞ。ほら、そこの花…」


セルナは何事も無かったかのように話しを続けています。


本当に自然体で堂々と、自分が何を言ったのかも気付かずに。


そんなことを言うセルナが、どうしようもなく憎く…


「出て行ってください…」


「…イーナ?」


セルナがポカンとした表情でこちらを向いています。


今は、目の前にセルナが居ることすらも許せない。


「出てけぇ!」


まるで、私が塗り潰されるような、長年感じたことのなかった感覚。


それに触発されハンドガンを出し、セルナに狙いを付けます。


「おい!イーナお前なに向けてんだよ!」


「うるさい!うるさいうるさい!早く出―――」


そのとき、手から力が抜けハンドガンが手から滑り落ち、鈍い音を立てます。


次に全身から力が抜け、ベッドに倒れこんでしまいました。


「う…ぁ…」


さっきまで治まっていたはずの熱も上がっていき、頭が沸騰しそうなほどに熱くなっていきます。


目が霞み、もはやなにも考えることができない。


「おいイーナ!大丈夫か!?おい!お―――」


焦ったセルナの声が聞こえつつも、意識が遠のく。


視界が塗り潰されるように、真っ暗に。


暗がりに浮かび上がるのは、過去の残像。


再び、あの夢を…

はい、どうだったでしょうか?


主人公の病状は深刻のようですね。


頭が蕩けるような高熱と、全身に渡る激痛。


もはや冷静な判断も出来ないほどにですね。


それと、感想に【霊力】使用による副作用では?との書き込みがありました。


決して副作用とか、そんなものではありません。


もっと深刻なもので、こればかりは【魔法】を使おうが治ることはありません。


ほら…救世主マンの腕も時間でしか治りませんし、それと同じようなものですよ。


感想、意見、その他諸々、お待ちしております。

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