第六十二話・信頼と信用は似てるようで違います
はい、第六十二話投稿いたしました。
なんと言うか、自分は話によって書き上げる時間が違いすぎる気がします。
長めの話を短時間で書き上げる時もあれば、短い話に数日かける時もあります。
テンションの違いかねぇ…
でもま、第六十二話始まり始まり…
『商品番号29番!【人間】の男性です!【魔法】を使えますので戦闘用の奴隷にどうぞ!最低落札価格は10万Sです!』
周りから12万、14万と値段が付けられていく。
最終的に15万5千Sの値段が付けられ、ステージの端へと消えていった。
「はぁ…」
【人間】が【亜人】が、物のように扱われて売買されて…
なんで奴隷なんて必要なんだろうな。
「調子はどうですか?セルナ。」
「…最悪だよ。」
いつの間にか、イーナが後ろに立っていた。
「そうですか。私も悪いですよ。一睡もしていませんから。」
イーナの顔を見ると、目の下に薄く隈ができていた。
イーナは大きく息をつきながら、俺の隣にゆっくり腰かけた。
「それで、いつ戻ってきたんだ?朝はまだいなかったよな?」
「ついさっきですよ。ルビアを宿に連れて行って、一緒に寝ようって言われましたが…どうせ寝られませんから。時間もありませんでしたし。」
「そうか…で、どうだったんだ?」
ルビアは無事に取り返してきたっぽいけど、あの王様はどうなったんだ?
「別に、なにもなかったですよ。たかが【吸血鬼】が出てきただけで、変わったことなんて特にはありませんでした。」
【吸血鬼】って…?
「いえ、でもあれは【吸血鬼】とも言えない、駄作もいいところの失敗作ですね。【吸血鬼】モドキと言いましょうか。」
「なんだそりゃ?そもそも【吸血鬼】なんて、聞いたことねーぞ。」
「ええ、それはそうですよ。古い古い【文明】の、失われた技術で造られた生物です。永遠の命を求めた結果のくだらない副産物ですよ。」
「へぇ…で、結局あいつの目的ってなんだったんだよ。てかさ、そもそも【教団】ってなんだ?」
なんか、大声で【教団】がなんとか言ってたし。
どっかで聞いた気がするけど…どこでだっけ?
「さあ?興味もありません。でも【教団】の一味なんですから、教理に沿った目的だったんでしょうね。」
「ふーん…」
それにしても【教団】ねぇ…
「よく分かんねえけどさ、俺たちには関係ねえだろ?」
【教団】がどんな目的だろうが、なにをしようが、一般人には関係ねえだろ。
「ええ、そうですね。向こうが手を出さなければ、関係ありませんでした。」
イーナとそんな話をしている内に、少しオークションが進んでいたようだ。
『商品番号35番!【亜人】の少女です!落札価格は6万Sから―――』
次は【亜人】の少女だった。
確か、この前イーナが気にしてたな。
「100万S。」
『―――は?』
まだ値段を言っている途中、イーナが会場に響く声で、そう言った。
『【亜人】の少女に100万の値段が付きました!おや…?皆さん!【亜人】の少女を買ったのは、昨日の大会で優勝したイーナ選手のようです!』
全員が一斉に、隣のイーナを凝視した。
『おや、失礼いたしました。まさか【亜人】の少女などにそのようなお値段など…』
バカにしたかのようにヘラヘラ笑いながら、男が言った。
あの男、なんか嫌な奴だな。
今までは、誰が誰を買っても何も言わずに進めていたのに…
「それでは、私は戻りますよ。用事は…そうだ、セルナ。一つだけ忠告です。」
席から立ち上がりながら、いつも通りの抑揚のないような声で言った。
「なんだよ?」
なんか、イーナがこう言うのは珍しいな。
「あまり、人を信用しない方がいいですよ。」
「は?」
なに言ってんだ、こいつは。
「人を信頼する分には構いません。いくらでも信頼をすればいい。しかし、信用はとても重い。信頼とは比べようもなく、とてつもなく重いんですよ。」
「…で、俺に人を信用するなって言ってんのか。」
「別に、セルナの考えを否定しているわけではありません。ただ、セルナは優しいですからね。付け込まれてしまうと大変です。」
それだけ言って、行っちまった。
「なんだよ、あいつ…」
信頼はしてもいい、でも、信用はするな…ってか?
ふざけんなよ…
誰を信頼しようが信用しようが、俺の勝手だ。
それで痛い目に合おうが俺の責任だし、俺の自由だ。
閑話休題
『さて、最後は本オークションの目玉商品です!』
何人もの【人間】が【亜人】が、虚ろな目を浮かべながら消えていった。
『この商品を捕えるために、我々は数えきれぬほどの苦労をいたしました。』
たった一人を捕まえるために、どんな苦労をするんだか…
『【エルフ】が生活している【アナリティカ】近郊で彷徨っていたところを、確保いたしました!』
へぇ…【エルフ】って【アナリティカ】近くにいんのか…
まあ、ホントかどうかなんて確かめようがねえけどな。
『ええ、分かっています。長い前置きは飛ばしましょう。【エルフ】の少女!落札価格は2000万Sからです!」
周りからどんどんと値段が言われ、つりあがっていく。
それだけで新しく家が買えるくらいの値段が、一人の少女に付けられていく。
そして…
『6100万Sが出ました!他にはいませんか!…では、6100万Sで―――』
「1億S!」
ああ、言っちまった…まあ、いいや。
イーナにも怒られそうだけど、今は目先のことだけ考えりゃいい。
『い、一億Sが出ました!他には―――』
俺の言った値段に対抗するように、少数ながらも高値を付ける奴もいる。
『3億S!3億Sが出ました!他には―――』
「5億S!」
『ご、5億Sが出ました。他には…いませんね。では【亜人】の男性が5億Sで落札いたしました!』
これで終わりか。
周りから色々な視線が飛んでくるが、気にしないことにする。
てか、俺ってそんなに男に見えたのか…
閑話休題
【エルフ】の髪は腰まで長く銀色で、光が透き通っているように美しく、目は紫色と青色で片方ずつの色が違っている。
目の色が違うなんて、初めてみるな。
遠くから見る分でも際立っていたが、近くで見るとハッキリとわかる。
なんと言うか、幼いながらも整った容姿をしていて、大人がそのまま子どもに戻ったみたいだ。
「それで、名前はなんて言うんだ?」
「…」
「やっぱり、喋れねえのか?」
「…」
【エルフ】はコクリと、小さく頷いた。
「はぁ、マジかよ…」
さっきから何度か声をかけているが、なんの返答もない。
指で首を指しているあたり、どうやら首に嵌められている首輪のせいらしい。
「その首輪だけどな、イーナに言えばなんとかなるから、宿に着くまで待ってろ。」
「…?」
俺がイーナといった辺りで【エルフ】は首を傾げた。
「ああ、イーナって言っても分かんねえか。えっとな、この前さ俺のポケットに【魔力】の塊を入れただろ?」
「…」
「その時さ、俺の隣にいたのがイーナだ。変な【人間】だけどさ、いいやつだから。」
【エルフ】は俺の横を歩きながら、コクリと頷いた。
でもま、当面の問題は…
「イーナにどう言い訳すっかなぁ…」
「…?」
5億Sも使っちまったんだ。
絶対に、なんか言われる。
「はぁ…憂鬱だな…」
もういっそのこと、働いて返すか?
いや、無理だな…
そんなことを考えながら、宿への道を急いだ。
はい、どうだったでしょうか?
今回も中途半端な終わりになってしまいました。
内容もよく分からない…
そして【エルフ】を購入しました。
その額なんと、5億Sです。
どこかにあると思いますが、1S=10円です。
日本円にして、じつに50億円です。
…主人公はお金持ちですねー
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