第六話・本当に方向音痴の人は自覚がない
はい、第六話投稿しました。
今回はあれですよ。
平和です。
戦闘シーンもなく、ひたすらに平和です。
そして短い。
それでも第六話、始まり始まり…
はてさて盗賊の頭を叩きのめして、来た方向から予測をしてアジトを目指しています。
伊那楓です。
あの盗賊の頭…長いですね。
あの男が最後に『今まで集めた物は全部やる』と言っていたので遠慮なく貰っておきましょう。
え?事実と違うって?
…気のせいですよ。
さて、【レーダー】を確認しながら歩いてきましたが…
「ここっぽいですね。」
地面に馬の蹄の跡もありますし、間違いないでしょう。
あったのは自然にできたような洞窟。
【霊力障壁】も展開してありますので、罠が仕掛けてあっても大丈夫でしょう。
一応ブレードを装備して侵入しました。
閑話休題
「うーん、あまりいいものがありませんでしたね。」
馬車が襲われていた道に戻り、馬車の進行方向を目指して歩きながらアジトから盗…いただいた物を見ています。
え?アジトですか?
罠なんてものは無く、長い一本道でした。
あの口ぶりからしてたくさん貯めこんでると思ったんですがね。
見つけたのはせいぜい金色の腕輪やら、綺麗な首飾り、あと指輪が数個。
価値なんて分かりませんよ?
【地球】では装飾品に興味ありませんでしたし。
とりあえず置いてあった袋に詰めて持ってきました。
それにしても…
「この袋どうなってるんでしょうか?」
私的にはこの袋の方が価値があるんですけどね。
見た目は汚い袋ですが、入れてみるとあら不思議、いくらでも入ってしまいます。
装飾品を全部入れても重さは変わらず、体積も変化しません。
【魔法】を使ってあるのは間違いないんですけどね。
今持っている私の知識はこの世界【ケミスト】の一般教養のみ。
【魔法】の知識は自分で学ばないといけません。
「まあ、いいです。」
今は町に行くことが先決です。
まだ日が高いので時間はあります。
【霊力浮遊】を使わずに歩いて道を進んでいきましょう。
閑話休題
もうそろそろ夜になるかなー、と思い始めたところでようやく町の入口に着いた。
町は3m位の壁に囲まれていて中の様子が分かりませんでした。
「ようやくですか。日が暮れたらどうしようかと思いました。」
結構遠くから見え始めたので、かなり大きな町でしょうね。
「すみません門番さん。」
入口に立っていた門番さんに声をかけました。
「おや、お嬢ちゃん。どうしたんだい?」
…やっぱり小さいんですかね。
「あの…この町の名前ってなんですか?」
「ああ、旅人さんかい。この町は【グラブス】だよ。」
「それじゃあここは【アナリティカ】の領地ですか?」
「ああそうだ。旅人なんだから、そのくらいわかるだろ?」
「いえ、実は森で迷ってしまいまして。丁度森から出たらこの町が見えたので、確認しただけですよ。」
「なんだ、あの森で迷ったのか?あそこはほとんど一本道だからほとんど迷わないハズだが…」
「実は食料を切らしちゃいまして、探してたら迷っちゃったんですよ。」
「そうか、だからそんなに軽装なのか。」
ふう、口から出まかせでも何とかなりました。
「それでこの町に入りたいんですけど…」
「ああ、それなら入国税で2000Sだ」
ちなみに1Sが【地球】でいう10円です。
「それなんですがね。現金が無くって、見つけた装飾品でいいですか?」
「ああいいぞ。一応鑑定士も兼任しているからな。」
それを聞き、安心して金色の腕輪を出した。
「これなんですが…」
「ああ、ちょっと待っててくれ。」
門番さんが懐から紙を取り出し、その上に腕輪を乗せた。
その紙が光を発し、腕輪を包んでいきます。
「何をしてるんです?」
「ああ、【鑑定魔法】だ。知らなくて当然か。この紙に置いた物の希少価値、美術価値、年代を【アナリティカ】の経済、需要、資料と照合して正当な価値を割り出す。人が鑑定するより正確だろう?」
「へぇー、そんな魔法もあるんですか。」
「まあ、魔法学校で専攻するやつも少ないしな。【鑑定魔法】よりも戦闘で役に立つ【探知魔法】を専攻するやつが多いからな。あんたも【探知魔法】を専攻したんだろ?」
「ええ…まあ。」
曖昧な返答でお茶を濁した。
「おっと、鑑定が終わったぞ。ふむ、なかなかだな。3000Sか。じゃあ、2000Sを引いた1000Sを返すぞ。」
日本円にして3万円か…
「まあ、文句を付けられてもどうにもならんけどな。おれが価値を付けたんじゃなくて、国が価値を決めたようなもんだからな、変えようがない。」
文句はないから別に気にしませんけどね。
1000Sを受け取ってお礼を言った。
「ありがとうございました。それじゃあ、入国してもいいですか?」
「ああ、出国の時はまたよってくれ、旅人は出入国を記録しなきゃいけないんだよ。」
「わかりました。それでは。」
そして私は【グラブス】に入国しました。
どうだったでしょうか?
【ケミスト】の通貨単位がわかりましたね。
そして最初に出た魔法が【鑑定魔法】って…
ちなみに門番に就くには【鑑定魔法】が必須要項です。
なぜなら、主人公のようにお金を持っていない旅人が来ても、身ぐるみを剥いでお金にすることができるからです(笑)
…ご都合主義じゃないですよ?
感想、意見、その他諸々、お待ちしております。