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私が行く・異世界冒険譚  作者: ちょめ介
蒔かれた種はどんな木に育つのか
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第四十九話・他と違うと目立ってしまいます

はい、第四十九話投稿いたしました。


あけましておめでとうございます。


一日遅れの挨拶ですみません。


実家に帰って犬とふれあったところ、鼻水と咳、そして気管閉塞になったという。


息がし辛くて死ぬかと思いました。


まあ、慣れたものですけどね。


埃が原因か、犬が原因か…


そんなことがあり、今回の小説は投稿日の前日に徹夜で仕上げました。


酷い出来だと思いますが、ご容赦を…


そして、これから一年間よろしくお願いします。


げふんげふん、第四十九話始まり始まり…

おう、セルナ・マーグナーだ。


イーナに連れられて、なんかよく分からねえところに来た。


妙に薄暗くて、狭苦しいところだな…


「で、これどこに続いてんだ?なんか下ってるけど…」


少し傾斜のある通路を進んで、もう数分になる。


「恐らく地下でしょうね。入り口も一つしかありませんから、都合もいいんでしょう。」


都合がいい?


「都合がいい?どういうことだ?」


こんな地下で都合がいいことなんて、聞いたことねえぞ。


「見つかりにくいですし、万が一の時に逃げ出さないようにでしょうね。」


うーむ…こいつの言うことは、よくわからん。


俺の理解力が足りないのかもしれないけどさ…


「なあ、なんの話だ?さっきからよく分かんねえけど…」


なんと言うか、言葉が足りないってか。


「その内分かりますよ。それよりセルナ。先に行って席を取っておいてくれませんか?」


席を取る?


まあ、そんくらいなら…


「別にいいけど…お前はどこ行くんだ?」


こんな薄暗い場所で、なんか用事でもあんのか?


「トイレですよ。セルナも行きますか?」


「行かねえよ!ったく…席を取っときゃいいんだろ。」


「ええ、お願いしますね。」


そんなイーナの声を背中に聞きながら、薄暗い通路を進んだ。


それにしても、まだまだ続いてるっぽいな。


どこまで続いてんだ?


それに、なにがあるのかは結局教えてくれなかったし…


ま、すぐに分かるだろ。




閑話休題




『さあ続きまして!商品番号17番!【亜人】の女性です!成人しておりますので、労働力、性奴隷、愛玩奴隷など―――』


なんだよ、これ…


『この【亜人】の最低落札価格は20万Sです!次の商品は―――』


首輪を嵌められて、腕の代わりに翼を生やした【亜人】が引きずられるようにして、舞台袖に消えていった。


「ああ、ここにいましたか。気分はどうですか?セルナ。」


「イーナ…」


いつも通り、感情が込められていないような声で言われた。


「なあ、ここは…」


「人身オークションですよ。今のは…鳥の【亜人】でしょうか?確か【魔法】の使える【人間】の相場が10万S前後でしたね。」


【人間】一人が10万Sかよ…


「それを考えると、20万Sとはなかなかに高価ですね。女性だったからでしょうか?それとも、鳥の【亜人】が―――」


『商品番号35番!【亜人】の少女です!一度逃げ出そうとしましたが―――』


次の【亜人】を見た途端に、イーナが声を途切れさせた。


「どうした…?あの【亜人】が…!?」


酷かった。


ボロボロの粗末な服と、破れた服から見える肌には、青い痣が見える。


辛うじて、顔には傷は無かったが、あの体の痣は…


『最低落札価格は6万S!では、次の商品です!』


【亜人】の少女の目には生気がなく、今にも死にそうな体だった。


「…今日は、いわゆる見本市ですね。落札額も提示されたでしょう?それと商品の性別や容姿、それと能力を見て、当日まで思案するんでしょうね。」


「お前…なんとも―――!」


イーナの手が口に当てられた。


「セルナ、大声を出すと目立ちますよ?ただでさえ目立っているんですから。」


周りを見ると、目、目、目…


好奇な、迷惑な、異物を、汚いものを見るような視線。


「分かったよ…チキショウ…」


その後も、次々と首輪を付けられた【人間】や【亜人】が引きずられていった。


「さて、私はそろそろ戻りますよ。」


「…戻るのか?」


「ええ、私の目的は終わりましたし。セルナは最後までここに?」


「…ああ、見てく。」


「そうですか。オークションは決勝戦の次の日だそうなので、覚えておいた方がいいですよ。」


そう言ってさっさと行っちまった。


「クソ…」


まったく、嫌な気分だ。


『商品番号72番!【人間】の男性です!労働力、実験体、など―――』


「てか…」


イーナの目的って、結局なんだったんだ?


この見本市を見にくることじゃなかったらしいし…


『さあ、本日はこのような辺鄙な場所に、よくいらっしゃってくださいました。次の商品で、本日は終了となります。』


次で最後か…


今までに、およそ90人程度が連れてこられてたな。


大多数が【魔法】の使えない【人間】で、残りに【亜人】や【魔法】の使える【人間】で…


『この日の為に、用意いたしました!【エルフ】の少女でございます!』


【エルフ】だと?


そういや【エルフ】なんて見たことねーな。


聞く限りは、森の中に住んでて【魔具】ばっか作ってる変わり者って話だけどな…


なんというか、よく分からないような―――


「な…!?」


しかし、そんな想像も、連れてこられた【エルフ】を見て吹き飛んだ。


銀色の、腰まで伸びた髪は優雅に揺れ、耳元から見える細長い耳。


そして、日の光なんて浴びたことがないような白い肌と、釣り上った蒼色と紫色の眼。


今まで見てきた奴らとは、絶対的に。


纏っている雰囲気が【人間】とも【亜人】とも違う。


一目見るだけで【エルフ】だと分かるほどの。


今までざわついていた会場が、一瞬で静まるほどの。


圧倒的なプレッシャーが―――


『おっとすみません。この【エルフ】は【魔眼】も持っていまして…』


そう言いながら【エルフ】の眼にアイマスクを被せた。


その途端に今までのプレッシャーが消え失せた。


【魔眼】だと…?


生まれつき眼に宿っている【魔法】では再現のできないとされている【魔法】に似た、強力な力。


国に一人いれば、それだけで甚大な影響力を及ぼし、100年前の戦争でも唯一【No.39】に手傷を負わせたと伝わってる。


まあ、イーナに教わったり図書館で読んだことだけどな。


『強力な【魔法】を使うことで有名な【エルフ】ですが、ご安心を。マギシールの手枷を嵌めて【魔力】を封じておりますので【魔法】を使用することはできません。』


マギシールかよ…


それ自体が【魔力】を吸収する、展性と延性に富み、どこまでも薄く細くすることが出来る金属だ。


犯罪者に嵌めたりする手枷や足枷、牢屋の壁に使ったりするんだが、希少な鉱石で、頭ほどの塊で50万Sはくだらないとか。


これもイーナに聞いたことだけどな。


『最低落札価格は2000万Sです!尚、この【エルフ】の少女ですが―――』


うわ…2000万Sとか、バカみてえだ…


でも、周りの奴らは興奮した様子であの【エルフ】を凝視してるし。


だれかが落札すんだろうな…


それに落札された後の扱いは…だいたい想像がつく。


…もう終わりらしいし戻るか。




閑話休題




イーナに聞いたところ【魔眼】というのは、大気中の【魔力】を物質化する力を持つ眼のことらしい。


【魔力】を物質化させるっていうのがよく分からねえが、イーナも説明をするのが面倒くさいとか。


それと、ルビアにはバックドロップを、メリアにはチョップをくらった。


もう全身がいてえよ…


リリウムが果物をくれたのが、唯一の救いだったな。


それにしても、あのプレッシャーはなんだったんだ?


【魔眼】しか考えらんねえが、別に【魔力】を物質化なんて…


「ん…?なんだこりゃ?」


ポケットの中に、石のような感触の虹色に輝く塊がいくつか入っていた。


こんなの見たことねえぞ。


そんなことよりいつの間に?


「いや…これは…」


バラバラになってるけど、揃えれば読める。


「たすけて…?助けてってどういうことだ?それに、これって…」


あの時のプレッシャーで【魔眼】を使って…?


いや、あんな一瞬で?


そんな考え事をしていると、扉を開けてメリアが入ってきた。


「セルナー一緒に寝ましょうよ。…って、なによそれ【魔力】の塊じゃないのよ。」


メリアが塊を弄りながら言った。


「やっぱり【魔力】の塊か…じゃあ、決まりだな。」


あの【エルフ】が、俺に向けて。


でも、どうして俺なんかに?


「ねえ、これ貰ってもいい?」


「ん、ああ別にいいぞ。なんか使い道でもあんのか?」


「え?んー…秘密。セルナには教えない。」


「…まあ、別にいいけどよ。危ねえことには使うなよ?」


「大丈夫よ。そんなに危なくはないから。」


「はあ…まあいいや。そんで、一緒に寝るんだっけ?」


「ええ、そうよ。あたしを放っておいて、あんな【人間】と一緒にいたんだから。当然の権利よね。」


「まあ、いいけどよ。そんじゃ、さきに入っとけ。片付けするから。」


【魔力】の塊を片付けながら、あの【エルフ】のことを考えていた。


あの【エルフ】が助けを求めてきたんなら…


「助ける、しかないよな…」


「え?なにか言った?」


「いや、なんでもねえよ。」


確か、決勝戦の次の日だったよな。


それなら、イーナが優勝してくれれば資金もなんとかなるかもだし。


でも、使っちまったら怒るだろうし…


ま、俺が怒られて済むんなら、それでいいか…

はい、どうだったでしょうか?


今回登場した【エルフ】さんですが、この後どうなるのでしょう。


それに主人公の反応も気になりますね。


【亜人】の少女を見て、主人公はなにを思い、どう行動をするのか…


そして【魔眼】が遂に登場してしまいました。


まあ、石にしたり、線が見えたり、歪曲させたり、魅了する、なんてことは出来ませんがね。


たった一つの事しかできないからこそ、突出した効果をもつんでしょうね。


感想、意見、その他諸々、お待ちしております。

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