第四十四話・人生の1/3は睡眠のためにあります
はい、第四十四話投稿いたしました。
本日の更新で、11月分の更新も終了です。
年内の更新は、あと…四回ですね。
四回でどこまでいけますかね?
それと、冬休み中の予定ですが、帰省するつもりなのでほとんど止まることになりそうです。
どんどんと完結が伸びてしまいますね。
ほーれ、第四十四話始まり始まり…
おう、セルナ・マーグナーだ。
今日から大会が始まっちまうな。
金はほとんどイーナに賭けたけど、やっぱり賭けなきゃよかった。
「はぁ…無駄金かよ…」
「なによセルナ。あの【人間】は気に入らないけど、強いんでしょ?」
「そんなこと言ってもよ…」
一回戦の初っ端で、相手が【No.9】だぞ。
「運悪すぎだろ…」
「何を言ってるんですセルナ。イーナさんが負けるわけないでしょう。」
ルビアはそう言うがな…
「てか、お前も大会に出るんだよな?この組み合わせだと、イーナと戦うことになるんじゃねえのか?」
これだと…準決勝か?
「はい、戦うことになりますね。」
「…まさか、お前、本気で戦うつもりじゃないよな?」
もしも、ルビアとイーナが戦ったら…
「それはもちろん―――」
『さあ、いよいよ始まります!第一試合は【No.9】対イーナ選手です!選手は入場をお願いします!』
アナウンスが響き、そろそろ試合が始まるようだ。
「あ、始まります。イーナさんは一番最初でしたね?応援しましょう。」
「あ、ああ。わかったけどよ。お前も試合だろ?だいぶ後だけど…」
「私は大丈夫です。イーナさんに杖も買って貰いました。」
そう言って取り出した杖は…
「こんな杖でいいのか?初心者用のだぞ?」
本当の初心者用で【魔法】を習い始めたばかりの奴が使うものだった。
こんなのをイーナが?
「てか、お前らって杖が無くても【魔法】使えたよな?それなのに、杖が必要なのか?」
メリアは杖が無くてもあの変な【魔法】使ってたしな。
なんでわざわざ杖を?
「いえ、イーナさんが持っていろって。もしも【魔法】を使うときに、持っていないと怪しまれるって言われました。」
「あー…たしかにな。」
杖に【魔獣】の一部を入れてあるからこそ【魔法】が使えるのであって、杖も無いのに【魔法】を使える奴なんていないからな。
「それで、何の【魔法】を使えんだ?教えてもらったんだろ?」
ルビアは【赤竜】だし【火属性魔法】だろうな。
「何の【魔法】と言われても…初級魔法でいいですか?」
「初級魔法か。そんならあんまり危なくねえだろ。」
初級魔法なら、たかが知れてるしな。
【ファイアアロー】だとしても【ファイアランス】でも【ファイアクロー】も、まだ弱い方だしな。
「初級魔法【ファイアアロー】」
そう言いながら、ルビアが杖を振ると…
「ちょっ!消せ消せ!」
ルビアの身長を優に超えるであろう【ファイアアロー】が、ルビアの頭上に出現した。
初級魔法だよな!?
デカすぎだろ!
「…あ、手が滑りましたー」
「すっげー棒読みっ!?」
ルビアが再び杖を振ると、巨大な【ファイアアロー】がメリアに向けて突進していった。
ルビアとメリアの間には、あまり距離がなく、直撃するとしたら一瞬の距離だ。
「メリア!危ねぇ!」
「―――ッ!ハァッ!」
メリアもあの【魔法】を使い【ファイアアロー】を掻き消した。
「ちっ…すみません。手が滑りました【緑竜】…死ねばよかったのに。」
「あんたね!ふざけんじゃないわよ!ちょっと遅かったら危なかったわよ!」
「はぁ?【緑竜】が何を言うんです。【緑竜】が死んでも、悲しむ―――」
「あ…お姉ちゃん…だ…」
「イーナさーん!頑張ってくださーい!」
リリウムがイーナを見つけると、ルビアが話を切ってイーナの応援を始めた。
うわ…変わり身はえー。
「はぁ…ま、いいか。イーナの試合も始まりそうだし。」
広いステージの上にイーナと、あれが…【No.9】か。
ほとんどの観客は【No.9】の応援をしてて、イーナには同情的な声援がちらほらと聞こえる程度だ。
『それでは試合開始です!』
ありゃ、始まっちまった。
イーナはいつも通り【魔具】を取り出した。
あれはなんだっけな。
レーザーブレードとか言ってたか。
【No.9】も杖を取り出し【魔法】を―――
『な、【No.9】選手突然倒れてしまいました!そ、そしてイーナ選手!いつの間に移動を!?』
使おうとしたら、イーナが【No.9】の後ろに移動していて【No.9】が倒れていた。
うわー…
どうせ、面倒とか思ってさっさと終わらせようとしたんだろうな。
『【No.9】選手!どうやら気を失っているようです!イーナ選手の勝利です!』
さっきまで歓声に包まれていたスタジアムの中が、静寂に包まれた。
「イーナさーん!凄いでーす!」
いや、ルビアだけは声を出してたけどよ。
てか、ルビアもすぐに試合だったよな?
閑話休題
「どうも、お待たせしました。」
試合が終わってから数十分。
ようやくイーナが戻ってきた。
ルビアは試合が近いってことで、控室に行っちまった。
…大丈夫か?
「どうでしたか。私の試合を見て、感想はありますか?」
「お姉ちゃん…カッコいい…」
「まぁ、言いたいことは山ほどあるけどな…」
【No.9】を一撃で気絶させたとか、晴れて【No.9】になったとか、またあんな風にやるのか、とか。
「とりあえず、私の出番は二日後ですね。確か【No.8】か【No.11】でしたね。」
「ああ、それなんだが…」
イーナの次の試合の【No.8】と【No.11】の試合だったハズだが…
「その試合な、無くなっちまったぞ。」
「無くなった?どういう事ですか?」
「いやな、どっちも【魔法】を撃ち合ったけど、結局決着がつかなくて両方が気絶したんだよ。それで、棄権扱いだ。」
【No.11】の【水属性魔法】が【No.8】の得意だった【火属性魔法】との相性が良かったんだな。
【No.】もそんなに変わらないから、実力の差を属性で縮めたわけだ。
「ということは…九日目までは空いてしまいましたね。」
イーナとルビアがAブロックで、もう一方がBブロックだ。
AブロックとBブロックが、一日ごと交互に試合を消化していくんだが…
「本当に、見事に空いてるな。どうすんだ?」
「んー…ちょっと用事を済ませますよ。それに、明日はちょうどお呼ばれしましたから。セルナも来ますか?」
イーナから誘うなんて、珍しいな。
「おう、行く行く。メリアは…」
イーナが来るまでは俺と喋っていたんだが、イーナが来た途端に黙っちまった。
イーナとメリアは、本当に仲が悪いな。
「別に、来ても構いませんよ?騒ぎさえしなければどうでもいいですから。」
「そか。メリア、どうする?」
「…あたしはいいわ。【人間】とは一緒にいたくないわ。セルナはどうなの?」
「いや、どうと言われてもな…」
「【緑竜】は来ないんですね。なら、セルナも来ませんね。宿で待っていてください。」
「ん…わかった。ルビアたちはどうすんだ?」
「どうしましょうかね?リリウムはどうしますか?」
「お姉ちゃんと…行く…」
「わかりました。ルビアは試合が終わったら、直接聞きますよ。」
まあ、ルビアなら二つ返事で行くって言いそうだがな。
「で、誰に呼ばれたんだ?知り合いでもいたのか?」
「一応、知り合いですね。キャリルって名前なんですよ。会うのは久しぶりですけどね。」
「へぇ、キャリルか…キャリル…?」
キャリルってどこかで…
「ちなみに【フィジカ】の【人間】ですよ。」
【フィジカ】の【人間】で、名前がキャリル…
「…まさか、グリニャールって言うんじゃねえよな?」
出来れば違ってほしいと思ったが…
「ええ、そうですよ。よく分かりましたね?」
「ハハハ…ナントナクカンデナ。」
「セルナ?なんで片言になってるのよ。」
イーナの知り合いって【フィジカ】の王族かよ…
「今日は疲れた…もう宿に戻るわ…」
「そうですか。では、私たちはルビアが戻ってきたら宿に戻りますよ。」
「わかった…行くぞ、メリア…」
「うん、わかったけど…大丈夫?顔色悪いわよ?」
「いや、大丈夫だ…」
精神的に疲れただけだ…
宿に戻ったら、寝たい…
はい、どうだったでしょうか?
【No.9】との試合を速攻で終わらせ、戻ってきたのは数十分後。
その間に何があったのか…
さて、次回はその辺りの事を描きますかね?
ちなみに、観客席はほぼ満席ですが【赤竜】が使った【魔法】のせいで、周りの観客は逃げてしまいました。
感想、意見、その他諸々、お待ちしております。