第四十二話・刃物は刃引きをしても危ないです
はい、第四十二話投稿いたしました。
寒い寒い寒い寒い寒い…
つい先日の雨で、体調を崩したちょめ介です。
こういった季節の変わり目は、よく体調を崩します。
それに、自分の部屋は暖房をつけませんから。
エアコンをつけると、どうも喉の調子が悪くなるんですよね。
毛布にくるまって暖をとっています。
ああ、炬燵が羨ましい。
でも、買っても運搬の手段が…
あ、それと11/8付の活動報告に番外編を掲載していたり…
げほげほ、第四十二話始まり始まり…
どうも、イーナこと伊那楓です。
ようやくギルドに到着しました。
ここに到着するまで大変でしたね。
ルビアが声をかけられたり、ルビアが毒舌をふるったり、ルビアの拳が猛威を振るったり。
ルビアの通った後には、死屍累々の光景が…
まあ、多少脚色していますけどね。
そんなことより、ギルドに到着です。
以前来た時と変わらず、ギルド内はざわざわと騒がしいですね。
「では、リリウム達の登録をしてしまいましょうね。」
「はい、イーナさん。」
「うん…」
リリウム達を連れ立って、カウンターに近づきます。
「ギルド【セントル】へようこそ。今日は、どのようなご用件で?」
「おや、リーナさんはいないんですね?」
あの人とは、なんだか話しやすかったのですけど。
「先輩ですか?先輩は休暇を取っていますよ。大会が開催される期間は毎年のことですよ。」
まあ、いないのなら仕方ありませんね。
「大会の登録に来ました。それと二人の登録をお願いします。」
「はい、了承しました。それでは、規則に納得してから、名前の記入をお願いします。それと、大会への登録にギルドカードが必要なので提出をお願いします。」
私が登録した時と同じように、リリウム達が用紙に名前を記入を…
「イーナさん。私の名前ってどうやって書くんでしょう?」
「お姉ちゃん…リリウムも…」
…そういえば、今まで忘れていましたね。
リリウムとルビアって【白竜】と【赤竜】だったんですね。
どうにも、そのことを失念していました。
「私が書きますよ。リリウム達はその辺りで待っていてください。」
ルビアが大きく返事をし、リリウムと手を繋いで離れていきました。
「あの…あの人たち、字が書けないんですか?」
「ええ、それがどうかしましたか?」
「い、いえ。なにか理由があるのなぁ…と思いまして。」
「理由ですか。まあ、色々とあったんですよ。」
「そ、そうですか。あまり聞かない方がいいですね。」
まあ、そうですね。
話す気もありませんし。
「さて、書けました。」
「はい、承りました。それでは、お二人のギルドカードです。あと、大会への登録でしたよね。少々お待ちください。」
受付の人が奥に消えました。
ギルドカードを見ると、リリウムとルビアの顔写真が貼られ、細々と書かれていました。
…いつの間に写真を撮ったのでしょう。
まあ、私のカードと変わりはありませんね。
「さて、リリウム達は…」
ギルド内を見回してみると、なんだか人が集まっています。
まさか…
人混みを掻き分け、騒ぎの中心に入ると、やはりルビアがいました。
「ルビア。なにかあったんですか?」
「あ、イーナさん。なんでもないです。【人間】が絡んできたので、ちょっと潰しただけです。」
ルビアが拳を血に染め、笑みを浮かべながら言いました。
「こらこら、前にも言ったでしょう?暴力はいけませんよ。」
ルビアの言い方から、向こうが悪いようですね。
まだ息はあるようですし、放っておいてもいいでしょう。
周りからは『嘘だろ…【No.23】だぞ…』とか『何者だ…あの女…』とか声が聞こえてきます。
【No.23】ですか…
まあ、構わないでしょう。
「ほら、リリウム達のカードです。無くさないようにしてくださいね。」
「これで、イーナさんとお揃いですね。」
「ん…お姉ちゃんと…いっしょ…」
リリウムもルビアも顔を綻ばせました。
「さて、リリウム達はどうしますか?依頼を受けてもいいですが…」
まあ、お金には困っていませんが、あれば困ることはないでしょう。
「んー…いえ、いいです。もう満足しました。」
「そうですか。では、大会の登録が終わるまで少し待っていてください。」
「はい。」
「ん…お姉ちゃん…」
「どうしましたか?」
リリウムが自己主張をするなんて、珍しいですね。
「リリウム…お姉ちゃんと…外…行きたい…」
外に…?
「ああ、依頼を受けたいんですね。いいですよ。好きなのを選んでください。」
「うん…」
そう言って、リリウムは依頼板に向かいました。
さて、どんな依頼を選んでくるのですかね?
そんな時、私の名前が呼ばれました。
受付にいた人の声ですね。
「はいはい。登録出来ましたか?」
「はい、登録完了しました。イーナさんは【No.】を持っていませんでしたので、予戦からになりますね。」
予戦ですか。
ちょっと面倒ですが、仕方ないですね。
「それで予戦なんですが、明日から開始されます。それと、予戦のルールですが…」
そう言うと、どこからか一枚の紙を取り出しました。
「この用紙を参照してください。ルール違反をすると、失格になるのでご注意ください。」
その用紙を要約すると、3つの事が書いてありました。
1.試合相手を殺さない。
2.刃物は刃引きした物を使う。
3.【魔法】は中級まで使用可能。
まあ、むやみに殺しはしませんし、刃物なんて使うつもりはありませんし、そもそも【魔法】は使えませんしね。
関係ないと考えてもいいでしょうね。
「分かりました。それで、予戦はどこで行われるんでしょうか?」
「はい。当ギルドの裏手にあるスタジアムで行われます。予戦を勝ち進んで行きますと本戦に出場することが出来ますので、頑張ってくださいね。」
そんな場所があったんですね。
全然気づきませんでした。
「これで大会についての説明は終わりです。何か疑問点はありますか?」
「一つだけ。この大会で賭博とかは行われていますか?」
こういった大々的な大会では、誰が優勝するかといったことで賭けが行われるものですが…
「はい、ありますよ。本戦に出場した五十人の内、誰が優勝するのかを当てるんです。大体は【No.】の上位で決まっていますが…」
「それは、国が取り仕切っているんですよね?」
「はい。【アンヴィーラ】が胴元になっています。不正さえなければ確実に払い戻されます。」
それは良かったです。
払い戻しの保証は出来ますね。
それと、セルナに頼み事もできました。
「お姉ちゃん…」
「おや、決めましたか?」
「うん…これ…」
リリウムが持ってきた依頼の内容は【魔獣】フィンチの討伐ですね。
【魔獣】フィンチは象のような外見で、超重量でそれを活かした突進攻撃が特徴です。
この【魔獣】が何体も集団になって突撃してきたら、小さな村などひとたまりもありませんね。
「ふむ、いいですね。では、これをお願いします。」
「はい、では…この依頼を受けるんですか?」
「ええ、悪いですか?」
「い、いえ。この依頼、随分前から放置されていて…近々専属の方にお任せするつもりだったんですけど…」
フィンチという【魔獣】は確かに驚異的です。
しかし【土属性魔法】とかで地面に穴を掘れば、簡単に落とせると思いますけど…
「まあ、いいじゃないですか。すぐに終わらせますよ。」
「は、はい。では【魔獣】フィンチの討伐の証拠として、フィンチの牙の提出をお願いします。」
まあ、いつも通り証拠部位だけ持ってきましょうか。
「ええ、分かりました。それでは、行きましょうか、リリウム、ルビア。」
「うん…」
「あ、イーナさん。先に行っていてもらえます?」
「別にいいですが…なにか用でもできましたか?」
「んー…秘密です。でも、その内にわかります。」
「…まあ、いいですよ。それではリリウムと歩いているので、あんまり遅れないでくださいね。」
「はい。分かりました。」
そう言って、一旦ルビアと別れました。
「さて、リリウム。ゆっくり歩きましょうか。」
「うん…お母さん…なんの用事…かな…?」
「ふむ…大体想像は出来ますが…まあ、大丈夫です。悪いことはしませんよ。」
私が大会に登録しているところを、目を爛々とさせて見ていましたから。
恐らく…
「まあ…当たったら、その時はその時ですね。」
「お姉ちゃん…?」
おっと、リリウムに聞こえてしまいましたか。
「いえ、なんでもないですよ。依頼が終わったら、果物を買って帰りましょうか。」
「うん…!早く…行こ…!」
リリウムの声も、少しだけ大きくなりましたね。
私の手をグイグイと引っ張っています。
さて、セルナと【緑竜】はどうなりましたかね。
まあ、恐らく大丈夫でしょうね。
セルナは、優しいですから。
はい、どうだったでしょうか?
【魔獣】フィンチ…アフリカ象をもっと凶悪にしたような風貌。
超重量から繰り出される突進は、木々を薙ぎ倒し、あらゆるモノを蹴散らして行く。
耐久力も高く、一体のフィンチの討伐に、熟練したギルド員が何人も必要だとか。
また、高圧で噴射される水の【魔法】は【魔力障壁】をも容易く貫通する程。
ただし【魔法】は鼻から出る!
…あの漫画のファンの方にはすみませんです。
さて、ようやく明らかになってきました、この大会。
主人公はどんな騒動を巻き起こしたり、巻き込まれるのか…
え?
騒動が起きるのは決まっているのかって?
そりゃそうですよ。
なぜなら主人公ですから。
感想、意見、その他諸々、お待ちしております。