第四十一話・寝起きは機嫌が悪いものです
はい、第四十一話投稿いたしました。
早いもので、今年もあと二か月を切りました。
この小説の完結はいつ頃になるのかなぁ…
まあ、趣味全開、無手勝流、ですから。
いつになることやら…
一周年頃には完結させたいなぁ、と。
そんな事を考える今日この頃だったり…
ふわぁ、第四十一話始まり始まり…
どうも、イーナこと伊那楓です。
グラブスを出発してから数時間。
ようやく【アンヴィーラ】に到着しました。
さすがに【霊力突進】を数時間も続けると、精神的に疲労しますね。
【霊力障壁】もあまり安定していませんね。
まあ【魔法】を数発受けて破れるほど、やわではありませんがね。
「さて、受け付けは確か…」
袋からチラシを出し、大会要綱を確認すると…
「ギルドですか。確か…まあ、歩いていれば見つかるでしょう。」
決して、決して忘れたわけではありませんよ。
「その前に、宿を探しますかね。」
まだ日は高いですが、もしも見つからなくて野宿になったらたまりませんし。
それに、リリウム達も袋から出たいでしょうしね。
閑話休題
とりあえず、宿を確保することは出来ました。
一泊が400Sで、朝夕の食事は無しです。
あの大会は一か月に渡って開催されるようでしたので、とりあえず12000Sを先に払っておきました。
よく分かりませんが、相場よりは高いですね。
探し回ってみたんですが、どこもかしこも満員でした。
狭いですが仕方ありませんね。
まあ、ベッドが二つあるだけ幸運ですか。
とりあえず袋に手を入れ、リリウム達をイメージしながら引き出します。
取り出す時に、いつもやっていることですね。
しかし、いきなり出てこられてしまうと、このただでさえ狭い部屋が更に狭くなってしまいます。
なので、私が袋に入って、一人ずつ出てもらおうと思います。
そして、袋に入ったわけですが…
「寝ていますね…」
ルビアの隣にリリウムが、セルナの隣に【緑竜】がすやすやと眠っています。
今朝は早かったですし、無理もありませんね。
しかし、明日からは大会なので、リリウムとルビアのギルド登録を今日の内に済ませなければいけません。
リリウムはともかく、ルビアは大会に参加するかもしれませんし。
「ほらみんな、起きてください。」
ちょうど浮かんでいた、フライパンと鍋を―――
…こんなの入れましたっけ?
まあ、そんなことは置いておき、互いを力の限り叩きつけます。
「―――ッ!なんだなんだ!」
「ああ、起きましたか?」
セルナが飛び起き、リリウムとルビアと【緑竜】はスヤスヤと寝入っています。
ふむ…リリウムは分かっていましたが、ルビアと【緑竜】も起きないとは思いませんでした。
「な、なんだよ!でけぇ音出すなよ!」
「おはようございます。セルナ、そこに果物もありますよ。昼食はそれですね。ああ、宿のベッドが二つしかないんでした。セルナと【緑竜】で一つのベッドですね。寝起きで喉も渇いたでしょう?お茶もありますよ。」
「あ、ああ分かった。別に、そんな早口で喋んなくても…」
「ん…果物…」
「イーナさん!一緒に寝ましょう!」
「お茶!?お茶があるのね!」
リリウムもルビアも【緑竜】も起きましたね。
よかったです。
「お前ら単純だな!」
セルナも目が覚めたようですね。
閑話休題
「イーナさん!早く行きましょう!」
ルビアがはしゃぎながら私の手を引きます。
「ルビア、ギルドは逃げませんからゆっくり行きましょう。」
「お母さん…早いよ…」
私が真ん中でルビアとリリウムが手を繋ぎ、少し後ろではセルナと【緑竜】手を繋いでなにか話しています。
まあ、周りの喧騒でよく聞こえませんがね。
大会が近いせいか、往来には馬車が行き来し【亜人】もちらほらと見受けられます。
まあ、大半は【人間】ですけどね。
「イーナさん!ギルドってどんな事をするんですか!」
「ふむ…私の時は、ただ書類を記入してカードを貰っただけですからね。依頼も、数回しか受けていませんから。」
「そうなんですか…」
「ギルドの事はセルナに聞いた方がいいと思います。セルナの方がギルドの登録期間も長いでしょうし。」
「そうですか…セルナ、ギルドってどんなことを―――」
ルビアが後ろを向いた途端に、言葉を失いました。
それに続き、私も後ろを向きました。
すると…
「おやおや、こんな人通りの多い場所で…どちらも大胆ですね。」
「お兄ちゃん…大胆なの…?」
「ええ、あれは…好きな人同士で行うんですよ。まあ、あの二人がどうかは知りませんが。」
「そう…なんだ…」
しかし、本当に大胆ですね。
よりにもよって、女性同士でですか。
まあ、別に気にはしませんが。
そんなことを考えていると、唇に柔らかい感触がしました。
目の前には、白い髪と綺麗な赤い眼が見えます。
「こらこら、ダメですよ。好きな人同士で行うと言ったでしょう?」
「リリウム…お姉ちゃんのこと…好き…だよ…お姉ちゃんは…?」
「もちろん、私もリリウムの事が好きですよ。でも、それは多分…【家族】としてなんですよ。リリウムはどうですか?」
「わかんない…」
「今は分からなくてもいいんですよ。たくさん悩んで、少しずつ分かって行けば…」
愛情と恋情の違いを、親愛と恋愛の違いを、親慕と恋慕の違いを…
「せ、せせせセルナ!?なにをしてるんですか!リリウムちゃんも見てるんですよ!」
「―――!―――!」
セルナも離れようとしていますが、頭を【緑竜】に固定されているので身動きが取れていませんね。
まあ、地力の差もあるんでしょうが。
「【緑竜】もいい加減にしてください。それに長いですよ。セルナが窒息してしまいますよ。」
そろそろセルナも限界でしょうし。
「―――!ぷはっ!…あっ!おい!」
セルナから離れたかと思うと【緑竜】が走って人混みに消えてしまいました。
「あー…どうすりゃいいんだ?」
「知りません!あんな【緑竜】なんてどこかに行っちゃえばいいんです!」
ルビアはそう言いましたが…
「追いかけなさい。そして、ちゃんと話し合いなさい。」
「イーナさん!?」
「私達はギルドに行くので、事が済んだら宿に戻っていてくださいね。」
「…悪いな。」
「いえ、そんな事を言う暇があったらさっさと追いかけてください。」
そう言うと、セルナは【緑竜】の後を追いかけました。
「イーナさん。どうしてですか?」
「なにがですか?」
ルビアの質問の意味が分かりませんが…
「イーナさんは、あの【緑竜】が嫌いだったみたいですけど、どうして助けるようなことを?」
「いえ、嫌いでも苦手でもありませんよ。ただ興味がないだけです。あの【緑竜】がどうなろうと、知ったことではありません。」
「なら…」
確かに【緑竜】の心配をする必要はありませんし、ともすればセルナを追わせる必要もありませんでした。
しかし…
「あの【緑竜】のせいで、セルナに自責の念を負わせるのは許せません。」
あのまま【緑竜】がいなくなってしまえば、きっとセルナは自分を責めるでしょうね。
セルナは優しいですから。
例え、私やリリウムやルビアが気にするなと言っても、意味を為さずに。
自分を責めて責めて責めて、潰れるほどに責め抜いて。
精神が擦り切れて、肉体が摩り潰れて。
どうなるんでしょうね。
「まあ、セルナと【緑竜】がちゃんと話し合えば、悪くなることはないでしょう。」
「…はい。セルナ、戻ってきますかね?」
「戻ってきますよ。きっと。」
きっと…
私は信じます。
「あ、そうだ、イーナさん。」
「どうしましたか?ルビ―――」
唇に、いえ…
「―――はふ…」
「―――ぷは…」
「…イーナさん。私も、イーナさんの事が好きですから。」
「…それは、どんな意味でですか?」
「もちろん、それは―――」
「お母さん…」
ルビアが言葉を続けようとしたときに、リリウムがルビアの腰に抱き着きました。
「リリウムちゃん?…いえ、そうですね。」
ルビアは、なにか納得したような声を出しました。
「もちろん【家族】として、イーナさんのことが好きです。」
「私も、ルビアのことが好きですよ。もちろん【家族】として。」
「はい…イーナさん。」
ルビアの顔に悲しげな、寂しげな表情が浮かびました。
「早く行きましょうか。そんなに時間があるわけでもありません。」
「…はい。」
リリウムと手を繋ぎ、ルビアが後ろを歩きます。
…すみませんね。
私に、そんな価値はないんですよ。
はい、どうだったでしょうか?
今回の更新分は、少し内容がボケていますね。
Q.こういうのって、問題はないんですかね?
A.大丈夫だ。問題ない。
…わけありませんね。
まあ、不愉快に感じてしまったらすみません。
それよりも、主人公はだんだんと異常になっていきますね。
精神的にも、能力的にも…
まあ、本性が露になってきたんでしょうね。
感想、意見、その他諸々、お待ちしております。