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私が行く・異世界冒険譚  作者: ちょめ介
蒔かれた種はどんな木に育つのか
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第三十四話・緑色は目に良いと言います

はい、第三十四話投稿いたしました。


今回の後書きにも、またまた主要人物のイメージ画像が掲載されています。


イメージ画像掲載も、あと数えるほどです。


まあ、服は時々変わっている、ということでお願いします。


よし、第三十四話始まり始まり…

おう、セルナ・マーグナーだ。


森ってのはいいな。


なんて言うか、街や国よりも空気がいいな。


それに、薬草とか毒草とかキノコとかの薬の材料もあるしな。


それにしても…


「ほらルビア、エドデにテミシアです。今日の夕食に使いましょうか。それにヴァーナです。ちょうど調合していましたし、これも採っていきましょう。」


なんか、イーナが生き生きしてんな。


いや、何となくなんだがな。


「おいイーナ、薬草とかも大事だがな、目的は【緑竜】の討伐だろ?こんな所で道草食ってていいのか?」


こんな所で道草なんて食ってたら、あいつらに先を越されちまう。


「いいんですよ。越されたら越されたで、別に構いませんから。」


はぁ…まったく、こいつの考えることはよく分かんねーな。


「それに、あのチームと鉢合わせたら面倒な事になりそうですし。そう言えば何人のチームなんですか?」


「ああ、あのチームは…確か5人編成だったな。あの【No.12】がリーダーで、あとの4人は中々の手練れらしいぞ。」


確か【No.12】が上級の【火属性魔法】を中心に使って、周りの奴らがほかの属性の【魔法】を補完してるんだっけな。


「そのチームと他のチームで【白竜】を討伐したという触れ込みでしたよね?」


「もっとも、あの程度で【緑竜】が討伐できるとは思えませんが…」


「は?どういう事だそりゃ。」


「だってそうでしょう?【No.】が何人か集まって、チームが何組も団結して、ようやく【白竜】を討伐できる程度なんでしょう?今回の討伐は、自信過剰の自意識過剰の思い上がりですよ。」


「…いや、それは言いすぎだろ。」


「いえ、今までに得た情報をまとめて、自分なりに解釈しただけです。別に、セルナが考えを変えなくてもいいんですよ。夢を見るのは個人の自由ですから。」


そう言って、イーナはまた採取を始めた。


はあ…もういいか。


俺も採取しよ。




閑話休題




採取を始めてもう一時間にもなるな。


「なあイーナ。そろそろ【緑竜】を探し始めてもいいんじゃねえか?あいつらも探してるだろうし。」


「放っておいてもいいんですが…まあ、薬草もたくさん集まりましたし、そろそろ―――」


「あ!ようやく見つけたわよ!」


茂みの中から、ガサガサと音を立てて一人の女が姿を現した。


緑色の髪に緑色の目をした、男なら惹かれそうな容姿をしてんな。


…なんか、似たような奴に毎日会ってる気がすんな。


「あの時の恨み!晴らさせてもらうわよ!」


そう言った途端に、女の周りに歪んだような透明な塊が現れた。


【風属性魔法】か!?


しかも、あの密度―――!


「消えなさい!【人間】が!」


その塊がイーナに当たり、一気に爆発した。


風が吹き荒れ、木が薙ぎ倒され、地面が吹き飛び目が開けてらんねえ。


「いってえ…」


くそ、なんとか踏ん張ったが…


「イーナ!無事か!?」


「ええ、何ともないですよ。それよりも、セルナは離れて隠れていてください。狙いは私のようなので。」


なんか平然としてるし、それよりも…


「お前が狙いって、なんか心当たりは―――」


「何を喋ってるのよ!そんな暇ないわよ!」


ガガガガガ!


と歪んだ塊が地面に無数に突き刺さり、その地点が爆発していく。


てか、さっきから何の詠唱もしてねえぞ!?


なんなんだよ、あの【魔法】は!?


「ふん!【亜人】なんかに用はないのよ。用があるのは…そこの【人間】だけよ!」


そう言って、ビシッとイーナを指差した。


「ふむ…私に恨み、と言いましたが。あなたはあの時の【緑竜】で間違いないですか?」


「もちろんよ!あんたに恨みを晴らすためにここまで来たのよ!ちょっと時間はかかったけど…見つけたから関係ないわ!ここが年貢の仕舞い時よ!」


いや、あの女【緑竜】かよ!?


そういや、ルビアと同じような感じがしたしな、それよりも…


「…なあ、ちょっといいか?」


「なによ【亜人】」


「さっきは年貢の仕舞い時って言ってたけど、そこは年貢の納め時じゃねえのか?」


少し【緑竜】が沈黙した。


「…う、うるさいわね!【亜人】が口答えしてんじゃないわよ!」


「うお!あぶね!」


【緑竜】が歪んだ塊を投げつけてきた。


何とか避けれたが、木に当たった途端に木端微塵になった。


だから、なんなんだよあれは!?


「ふぅ…私としたことが、ついカッとなっちゃったわ。つい言い間違えるなんてね。」


こっちはいい迷惑だ!


「恨みがある、と言いましたがどうすれば恨みが晴れるんですか?」


「ふん!決まってるじゃないの!」


そう言って、またイーナをビシッと指差した。


「あんたを同じ目に合わせれば気が済むのよ!だから…おとなしくやられなさい!」


イーナを中心に広範囲に歪んだ塊が突き刺さり、地面が木端微塵に吹き飛んだ。


そして、まだ砂埃が舞っている中、甲高い音と共に青白い光線が【緑竜】に放たれた。


「まったく、危ない【魔法】を使うものですね。私じゃなかったら即死ですよ?」


そう言ったイーナの手には、あの時の【魔具】が握られていた。


あの後に聞いたら、こと座の星が何とか言ってたが…


「くっ!この前もそうだったけど、卑怯よ!正々堂々と近づいて戦いなさい!」


お前が言えることでもねえだろ!


「まあ、いいじゃないですか。あなたの【魔力障壁】もなかなかにずるいですから。」


まあ、前に見た風みたいなあの【魔力障壁】は、イーナのあの変な【魔具】の攻撃を逸らしてたしな。


「うぐっ…じゃあ、私は飛ばないわ。あなた【人間】なんだから、飛べないでしょう?これだけでも十分ハンデでしょ?」


「まあ、別に構いませんよ。では、私は近づいて正々堂々と戦う、ということで。」


そう言ったイーナは【魔具】を消して、板みたいな薄い【魔具】を取り出した。


なんだありゃ?


「ふん!そんなおかしな物で私を―――ッ!」


「また避けますか。反応速度は上々ですね。」


数メートルはあったイーナと【緑竜】の距離は一瞬の内に縮まり、左腕につけていた【魔具】で殴りつけていた。


【緑竜】は紙一重で避けたが、イーナの【魔具】が木に当たり、緑色の閃光が場を支配した。


は?


いつの間に移動したんだよ。


てか、なんなんだよあいつの持ってる【魔具】は。


当たった木が枯れてんぞ。


「くっ…危ないわね!てか何よ!その速さは!」


「まあ、いいじゃないですか。あなたもあんな【魔法】を使っているんですから。」


確かにな、あいつの【魔法】も何かに当たったら木端微塵になるし。


「あたしの【魔法】が効かないんだから!あんたもそんな【魔法】使うんじゃないわよ!」


「いえいえ、私は【魔法】なんて使えませんし、使っていませんよ?」


「嘘言ってんじゃないわよ!あたしの【魔法】が効かないなんて、どんな【魔法】を使ってんのよ!」


「だから【魔法】なんて使ってないですよ。」


【緑竜】もそうだが、イーナも大概だな。


あの【魔法】を受けても無傷だし、あの【魔具】は無駄に強いし。


やけに知識はあるけど、背は小せえし。


まったく、なんなんだよあいつは。


貴族…とかじゃねえよな。


あいつ、自分のことはあんまり話さねえからな。


そんなことを考えているうちに【緑竜】が歪んだ塊を操ってイーナを狙い、それをイーナは回避してる。


流れ弾が!流れ弾があぶねえ!


「おいイーナ!あぶねえだろ!もうちょっと考えろ!」


「はあ…だから離れていろと言ったんですがね。まあ、いいです。そろそろ終わらせます。」


「はっ!私がやられるわけ―――」


「油断大敵、ですね。」


今まですぐそこにいたイーナが【緑竜】の背後に現れ、あの【魔具】を【緑竜】に直撃させた。


イーナと【緑竜】が緑色の閃光で包まれ、光が消えたと思ったら【緑竜】が倒れていた。


だから、いつの間にそこに行ったんだよ!


まさか…【転移魔法】なわけないよな。


あんな【魔法】個人がどうこうできるもんじゃないし…


「な…どうして…」


「背後は生き物にとって最大の死角ですよ。狙うのなら、まずそこですよ。」


「で、でもどうやって…」


「まあ、いいじゃないですか。そんなこと。でも、まだ意識があるんですね。さすがは【緑竜】です。」


「ぐ…」


ふう…終わったか?


「イーナ、もういいか?」


「ええ、終わりました。もう出てきて大丈夫ですよ。」


さっきまでは気づかなかったが、イーナと【緑竜】の周りは、木々は薙ぎ倒され地面はあちこち抉れていた。


「いや、さすがにこれはやりすぎだろ。」


「む、失礼ですね。私じゃないですよ。全部あの人の仕業ですよ。」


まあ、確かにそうか。


「で、どうする?この【緑竜】をもってけば…」


「まだよ!あたしはまだ負けてないわ!」


「まったく…どうしたら負けを認めるんですか?もう立てないでしょう?」


「くっそ…!あたしが!あたしが死ぬまで(・・・・)は負けじゃないわ!」


はぁ…なに言ってんだこいつは…


負けず嫌いにも程があんだろ。


俺が【緑竜】に呆れているときに、何となく背筋に悪寒が走った。


「へえ…」


イーナが持っていた【魔具】を消して、また変な【魔具】を出した。


あれは…杭か?


先端が尖った杭がついた【魔具】?


そんなのなんの為に…


「では、そうしましょう。」


そう言い、倒れている【緑竜】に接近し【魔具】で殴りつけた。


「―――ッ!」


【緑竜】はそれを紙一重で避け、地面に直撃した。


そうすると


ドゴンッ!


という轟音と共に、数メートルはあろう大穴が空いた。


「な、なにするのよ!危ないじゃない!」


「なんです?死ねば終わるんでしょう?死ねば負けなんでしょう?早く死にたいんでしょう?」


「な、なにを…」


「死ねばいい。死ねばいいんですよ。死ねば。」


イーナの声には、何の感情も籠っていなかった。


まるで、どこか別の場所を見ているような、何も見えていないような、そんな声だった。


「げぶっ…あああっ!」


イーナの【魔具】が直撃し【緑竜】の体が吹き飛んだ。


「げ…はぁっ!はぁっ!あん…た…!」


【緑竜】の口から血が溢れて、まともに喋れてない。


「ぐ…げっ!はっ!」


【緑竜】が体を引きずりながら、森の奥に逃げようとしている。


「何をしているんです?逃がしませんよ?」


イーナの【魔具】が消え、また新しい【魔具】を出した。


その【魔具】を【緑竜】に向けると


プシュッ!


という音と共に【緑竜】の腹から血が噴き出していた。


「は…?あ…」


信じられない物を見たような声をだし、力が抜けたように【緑竜】が倒れ伏した。


なんだありゃ…何も見えなかったぞ。


イーナが倒れている【緑竜】に近づいて、無言で【緑竜】を見てる。


「セルナ、知っていますか?」


唐突に俺の名前を呼んだ。


「…なんだよ。」


イーナが袋から短剣を取り出した。


その短剣を弄んで。


「生き物は、首を落とせば死ぬんですよ?」


そう言って、イーナは―――


「死ね。」


―――短剣を、振り下ろした。

さて、ここで通算三回目の注意です。


後書きに掲載されているイメージ画像は、あなたの中のイメージを粉微塵にしてしまう可能性があります。


その辺りをご了承のうえで先にお進みください。


名前・ルビア


種族・【赤竜】


年齢・人間換算で20歳を超えた辺り


性別・女


身長・モデル並みに高い


体重・身長不相応に軽い


挿絵(By みてみん)

キャラクターなんとか機を使用させていただきました。


雰囲気・大人の魅力が漂う綺麗なお姉さん


その他・イーナとリリウムとセルナ以外には、基本的に無関心


【コーラル】の一件で息子を【人間】に殺され、以後はリリウムを娘として愛している。

【オーガニー】で出会ったセルナは、出会った当初は犬猿の仲だった。

しかし【アプライド】の一件でイーナが怪我を負った際に、セルナへの認識を改め、以後は喧嘩仲間のようになっている。

目的は特にないが、イーナを溺愛し、リリウムに愛情を注ぎ、セルナと喧嘩をする日常を楽しく思っている。

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