第三十一話・白くて赤くて暖かいです
はい、第三十一話投稿いたしました。
およそ一ヶ月ぶりの投稿となってしまいました。
夏休みをダラダラと過ごした結果がこれですよ。
後期は忙しくなりそうなので、前期同様な更新が出来なくなるかもしれませんが、その時はよろしくお願いします。
…そういえば、ユニークが4万突破していました。
それっと、第三十一話始まり始まり…
リリウムだよ?
この名前はお姉ちゃんにつけてもらったんだ。
今日は、お姉ちゃん達と一緒にお出かけするんだよ?
でも、お母さんとお兄ちゃんが怖い顔してたの。
どうしてかな?
閑話休題
お姉ちゃんと手をつないで、市場に来たの。
お母さんとお兄ちゃんは、私たちの後ろで何か話してるけど…
「お姉ちゃん…あれ欲しい…」
私が指差したのは、赤くて粒々がついている小さい果物だよ?
「ラガリアですか?いいですよ。」
お姉ちゃんの袋の中に入ってたのを食べたけど、すっごくおいしかったの。
でも、私が袋に入ってた時に食べた、あの果物は嫌いなの。
なんだか、口の中がすっごく苦くて…
一人でいた時は、いろんな果物を食べてたけど、あんなに不味かったのは初めてだったんだよ?
でも、お姉ちゃんはおいしそうに食べてるの。
どうしてかな?
閑話休題
「それじゃあ、図書館に行きましょうか。」
私が欲しかった果物も買い終わって、次はお兄ちゃんの用事だよ?
「あの図書館は、もう閉めるらしいですから、不要な本も貰えるでしょうね。」
「そうなのか?」
「ええ、なにやら知り合いの【エルフ】のお爺さんの所に行くとかで。ランダル君とも、ここでお別れですね。」
ランダル君は、お兄ちゃんが助けた【人間】の男の子だよ?
でも、私の方がお姉さんなんだ。
えへん。
「…そうか。」
「母親もそこにいるらしいですし。これで、安心ですよ。」
「…そうだな。安心だ。」
そう言ったお兄ちゃんは、なんだか辛そうな顔をしていたの。
どうしたのかな?
「お母さん…お兄ちゃん…どうかしたのかな…?」
お母さんは息も吹ける【赤竜】なんだよ?
今は、擬態をして【人間】の姿になってるけど、竜に戻ったらすっごく強いんだよ?
でも、お姉ちゃんはもっとすっごく強いの。
私は、お姉ちゃんを助けたい、って思ったら、突然擬態ができたの。
でも、竜の姿に戻れなくなっちゃったの。
でも、お姉ちゃんと一緒だから、嬉しいな。
「んー。たぶん寂しいんだと思います。」
「寂しい…?」
「はい。リリウムちゃんもイーナさんと離れたら、寂しいでしょう?」
「うん…」
私は、お姉ちゃんと離れたら、また一人ぼっちになっちゃうから。
「それと同じだと思いますよ?セルナは、ああ見えて寂しがり屋ですから。」
「そうなんだ…」
俯いているお兄ちゃんに声をかけたの。
「お兄ちゃん…」
「ん…どうした。」
「お兄ちゃん…寂しいの…?」
「は…ば、バカ!さ、寂しくなんか…」
「おや、セルナ。ランダル君がいなくなって寂しいんですか?」
「そ、そんなことねーし!寂しくなんかねーし!むしろ清々したし!」
お姉ちゃんが声をかけたら、顔を赤くしながら言ってるの。
「まあ、いいです。もう図書館も見えてきましたし。そこでお別れにしましょうか。」
道の先には、ツタで覆われている建物があったの。
あれが図書館なのかな?
閑話休題
図書館の中は、なんだかカビ臭いにおいがしたの。
「それじゃ、セルナの欲しいのは薬草関連の本でしたね。聞いてきますから、待っていてください。」
そう言って、お姉ちゃんは奥に行っちゃったの。
「お母さん…抱っこ…」
「はいはい、リリウムちゃんは甘えん坊さんですね。」
寂しくなっちゃったから、お母さんに抱っこをねだったの。
お母さんは、暖かくて、いいにおいがして、安心するんだよ?
「よしよしです。」
「ん…」
お母さんが、頭を撫でてくれたの。
「まったく、お前らは仲がいいよな。てか【白竜】と【赤竜】って、そんなに仲がいいものなのか?」
「何を言っているんですセルナは。リリウムちゃんは、私の娘です。リリウムちゃんも、私の子どもになってくれるって言ってくれました。」
「そうなのか?」
お兄ちゃんが、私に確認してきたの。
うう…恥ずかしいよぉ…
お姉ちゃんには、知られたくないな。
「うん…私は【白竜】だけど…お母さんはお母さんだよ…?」
「ふーん…で、何でお前らはイーナに連れ添ってんだ?」
なんで、って…
「お姉ちゃんが…私を助けてくれたからだよ…?」
「あいつがお前を助けた、ねぇ…」
「うん…そうだよ…?私が【人間】に襲われて…私は気を失っていたんだけど…気がついたら…お姉ちゃんが隣にいたの…」
あのとき、お姉ちゃんに助けてもらえなかったら、今ごろどうしてるのかな?
「そん時はまだ【白竜】だったんだろ?お前を襲ってたのって、やっぱり【人間】か?」
「うん…白いマントを着けてた【人間】だったよ…?」
「はぁ…やっぱりか。やっぱ【人間】ってのは―――白いマントだぁ!?それって【No.】の証じゃねーか!…いや、まてよ。偽者って可能性は…」
お兄ちゃんが何か考え込んじゃったの。
「お母さん…お兄ちゃん…どうしたのかな…?」
「さあ?何か考え込んでるようです。まあ、そのうち元に戻りますよ。」
お母さんが、ギュってしてくれたの。
やっぱり、暖かくって、いいにおいがして、とっても安心するの。
お母さんは、小さい声で『至福です』って言ってるけど。
私は、みんなに出会えて幸せだよ。
閑話休題
お姉ちゃんがランダル君と【人間】の男の人を連れてきて戻ってきたの。
「セルナ、図書館では静かにしましょうね。向こうまで響いてきましたよ。」
お兄ちゃんは、お姉ちゃんが持っていた本を頭に落とされて、目を回しているの。
「に、兄ちゃん…大丈夫か?」
「あ、ああ。大丈夫だ…」
頭を抱えながら、お兄ちゃんが体を起こしたの。
「おう、ランダル。元気だったか?おっ、なんか急に背が伸びたな。」
「…兄ちゃん、なんで父ちゃんの頭を撫でてんだよ。俺はこっちだぞ。」
お兄ちゃんが、男の人の頭を撫でてるの。
「こら、セルナ。アムザイさんの頭を撫でてどうするんですか。ランダル君は左ですよ。」
「んあ…わ、すみません!」
「いえいえ。ほら、ランダル。お世話になったんでしょう?お礼を言いなさい。」
「う、うん。」
ランダル君が、男の人に背中を押されて、前に出てきたの。
そうしたらお母さんに抱っこされたの。
「リリウムちゃん、私達には関係ありませんから、向こうに行っていましょうか。」
お母さんに抱っこされて、お姉ちゃんたちから離れたの。
やっぱり、お母さんは暖かいな。
そういえば、お姉ちゃんの【魔力】はお兄ちゃんともお母さんとも、違う味がしたけど…
はい、どうだったでしょうか?
今回は【白竜】の視点です。
心の中では流暢に考えたりしてますね。
ほら、いきなり擬態をしたから上手く喋ることが出来ないんですよ。
あと、少年のこれからもちょっとだけ。
感想、意見、その他諸々、お待ちしております。